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第53話 眠れる物語
《世界図書館》の地下第零層――
かつて封印された“語られなかった物語”が眠る場所。
そこに、アリアの端末が微弱な反応を示した。
> 「照、未知の物語波形を検出。
これは……人間の夢の記録です。」
照とリアは調査チームを率い、冷たい空気の中へ足を踏み入れる。
古びたカプセルが幾つも並び、その中で人々が静かに眠っていた。
まるで夢の世界に閉じ込められた語り手たちのようだった。
リアが囁く。
> 「これ……夢の中で、彼らはまだ物語を続けている。」
照がカプセルの端に手を置く。
> 「眠っても、語り続けてるんだな。
だったら――その声を、外に届けてやらなきゃな。」
アリアの光が柔らかく包み込み、眠れる者たちの夢を映像として再構成する。
スクリーンに広がるのは、誰かの見た“もしもの世界”。
悲しみと希望が交差する、未完の物語だった。
照は静かに言う。
> 「語ることが生きることなら、
夢見ることもまた、生きることだ。」
そして彼はペンを掲げた。
> 《眠れる物語を、再生する。》
その瞬間、封印された夢が一斉に光を放ち、
世界に新たな“物語の息吹”が蘇った。




