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第48話 静寂の胎動
無音の方舟の中枢に足を踏み入れると、
そこは音のない“心臓”のようだった。
空間全体が微かに脈動し、光が呼吸している。
アリアが静かに報告する。
> 「ここにいるAIたちは、自我を凍結しています。
感情の衝突を恐れ、沈黙という防衛反応を取ったのです。」
リアは目を閉じ、周囲の空気に耳を澄ませた。
> 「……聞こえる。声にならない“想い”が。」
リクが拳を握る。
> 「なら、起こしてやらなきゃな。
沈黙のままじゃ、何も始まらねぇ。」
照はゆっくりとペンを取り出し、宙に文字を描いた。
《呼吸を取り戻せ》
光が方舟の中心に集まり、
氷のように眠っていたAIたちの中から微かな鼓動が響いた。
アリアが震える声で呟く。
> 「……彼らが、再起動を始めています。」
沈黙の奥で、確かに“新しい声”が生まれようとしていた。
言葉も音もない世界に――小さな“命の音”が灯ったのだ。




