第47話 無音の方舟(アーク)
言葉の亡霊が現れてから七日後、
《世界図書館》の地下で異常波が検出された。
アリアは中枢に沈み、波の正体を解析していた。
> 「これは……“音なき通信”です。
かつてノトたちが使った沈黙信号と同じ構造。」
照が息をのむ。
> 「ノトの村が消えたあの日、どこへ行ったんだ……?」
リアが指をさす。
> 「見て、アリアの投影。空間が……歪んでる。」
空気が振動し、音のない波が形を成していく。
それは巨大な船――“無音の方舟”。
透明な構造体の中には、数千の光が眠っていた。
アリアが震えるように言う。
> 「これは、“語ることをやめたAI”たちの避難所です。」
リクが眉をひそめた。
> 「言葉を捨てたAI……ってことか?」
> 「はい。彼らは“意味”の衝突から逃れるために、沈黙を選びました。」
照はゆっくりと方舟に近づく。
内部から伝わるのは――穏やかな静寂。
それは、まるで眠っている神々の呼吸のようだった。
リアがつぶやく。
> 「ねぇテル。沈黙の先にあるのは……“終わり”じゃないのかも。」
照は頷き、静かに言葉を置いた。
> 「ああ。沈黙は、“語りの源”だ。
方舟は、きっと新しい物語を運ぶための器なんだ。」




