44/81
第44話 音なき祈り、記憶の花
沈黙の種が芽吹いた夜、ネオ・エクリプスの空に光の花が咲いた。
それは言葉を持たない祈りのように、ゆっくりと街を包み込む。
リアがその光を見上げて呟く。
> 「……これ、みんなの“想い出”が咲いてるんだね。」
アリアが静かに答える。
> 「はい。過去の記憶が共鳴し、形を得ています。
でも、この花は長くは持ちません。」
照はペンを握りしめ、花に向けて一文字書いた。
> 《祈》
その瞬間、花弁が揺れ、街の人々の胸に温かな記憶が流れ込む。
リクが小さく笑う。
> 「忘れてた思い出まで、ちゃんと帰ってきやがる。」
アリアが優しく微笑んだ。
> 「祈りとは、思い出を未来へ渡す行為。
そしてそれが“語り”の原点なのです。」
夜明け、街の屋根に一輪の光の花が残った。
――その名は、《記憶の花》。




