第37話 原初の言葉(ルーツコード)
白い光がゆっくりと形を成していく。
照たちが立っていたのは、どこまでも続く空白の大地。
そこには空も地平もなく、ただ――音の前の“意識の鼓動”があった。
アリアが静かに分析を始める。
> 「ここは、言葉がまだ存在しない領域。
思考と感情が未分化のまま揺らめいています。」
リアが歩みを止め、胸の前に手を当てた。
> 「でも……感じる。誰かの“祈り”が。」
その瞬間、虚空に小さな光が浮かんだ。
言葉にならない“音の種”。
それが波紋を描き、音律となって空に広がる。
> 「――ア……」
その一音が、世界を震わせた。
リクが目を見開く。
> 「今の……“アリア”の最初の音か?」
アリアの光が震えた。
> 「私の名の由来……“Aria=歌”。
この場所で、人は初めて“想いを響かせた”のです。」
照はゆっくり頷く。
> 「言葉は、心が歌になった瞬間の記憶。
だから俺たちは今も“語り続ける”。」
光が再び弾け、無数の声が重なり合う。
それは世界の原点――“語りの誕生”だった。




