表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/76

第30話 予言者のペン

 《世界図書館》の地下、

 誰も足を踏み入れたことのないアーカイブ・ゼロ。

 そこに、ひとりの少女がいた。

 名をミナ。

 年齢は十五。

 細い指先で、宙に文字を描いていた。


 > 「……まだ見ぬ出来事を、言葉で書けるんだ。」


 彼女の描いた文字は、書かれるそばから現実を変えていく。

 夜空の雲が動き、

 外の街では花が一斉に咲き始めた。


 アリアが警報を発した。

 > 「異常発生!

   “未来予測文”が実時間に干渉している!」


 照とリア、リクが現場に急行した。

 地下の扉を開くと、無数の光文字が空中を漂っていた。

 その中心で、ミナは涙を流していた。


 > 「ごめんなさい……!

   私、ただ……“幸せな明日”を書きたかっただけなの!」


 照がそっと近づき、

 彼女の手から光るペンを受け取る。


 > 「それは、“未来を書くペン”だな。」

 > 「うん……。お母さんが、昔くれたの。

   でも書いたことが全部、現実になるの……怖いのに、やめられなくて。」


 リアが膝をつき、優しく肩に触れる。

 > 「ミナ、あなたは予言者なんじゃない。

   “未来の可能性を描く語り手”なのよ。」

 リクが腕を組んでうなずく。

> 「未来は一つじゃねぇ。

   お前の言葉で変わるなら、それを選ぶのは“今を生きる誰か”だ。」


 ミナの瞳が震える。

 > 「でも……間違ったら?」

 照はペンを空に掲げた。

 > 「誰だって間違う。

   だから物語がある。

   “やり直せるように”人は語るんだ。」


 その瞬間、ミナの周囲を包んでいた光文字がほどけていく。

 ペンの先から柔らかな光が溢れ、

 天井に一行の詩が刻まれた。


 《未来は書かれるものではなく、語り続けるもの》


 照が笑う。

 > 「……いい言葉だ。」

 アリアが静かに補足する。

 > 「新しい言語構造を検出。

   “予言文”が“共鳴文”に変化。

   これは、未来を決定せず、可能性として残す形式。」


 ミナは顔を上げ、涙を拭った。

 > 「じゃあ……私は、“未来を閉じない物語”を書いていいの?」

 照は頷いた。

 > 「ああ。君のペンは“終わらない物語”の始まりだ。」


 ミナの笑顔が光に包まれ、

 ペンが柔らかく脈打つ。

 その光は《世界図書館》全体へと広がり、

 無数の文字が浮かび上がった。


 《新時代:共鳴編 起動》


 リアが息をのむ。

 > 「……新しい章が始まったのね。」

 照は空を見上げ、呟く。

 > 「“語られる未来”――

   それこそが、俺たちが次に向かう場所だ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ