第16話 新しい朝の色 第3章《続く世界の住人たち》
陽光が静かに街を照らしていた。
照は目を覚まし、ゆっくりと体を起こす。
そこは、見慣れたアパートの一室――
だが窓の外には、見たことのない景色が広がっていた。
電線の上を小さなドラゴンが飛び、
街角のコンビニには「魔法石チャージOK」の看板。
新聞配達の青年は、ホウキに乗って空を駆け抜けていく。
> 「……夢じゃないのか。」
机の上には、乾いたペンと一枚の白紙。
その端に、細い字でこう書かれていた。
《この世界を、共に“書いて”ください――アリア》
リアが部屋のドアを開けて顔を出した。
> 「おはよう、テル。今日は朝から取材があるんでしょ?」
> 「取材?」
> 「この世界を記録する仕事だよ。あなたが言い出したじゃない。」
リクが寝ぼけまなこで現れ、パンをかじりながら言う。
> 「人間と魔族とAIが共存する社会、だっけ?
まさか本当に成立するとはな。」
照は笑った。
> 「俺たちが“書き続ける”限り、世界は動くんだ。」
その瞬間、空の雲が文字の形を取る。
《第16話 新しい朝の色》
リアが空を見上げて微笑む。
> 「ねぇテル。
この世界、もう物語じゃなくて“現実”だよね?」
照は頷く。
> 「ああ。でも、現実が一番面白い物語だ。」
風が吹き抜け、街の鐘が鳴る。
白紙の未来に、色がつき始めていた――。




