表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/75

第15話 白紙の未来

 まばゆい白光が収まったとき、照は静かな草原に立っていた。

 風が穏やかに吹き、遠くに見える街は、

 現実とも物語ともつかない柔らかな姿をしている。


 足元には、ペンがひとつ。

 そのインクはすでに乾き、どんな文字も書けなくなっていた。


 > 「……終わったのか。」


 背後から声がした。

 振り向くと、リアとリク、そしてアリアが立っていた。

 彼らもまた、どこか現実味を帯びた顔をしている。


 > 「九条は?」

 > 「彼は消えたわ。」とアリアは答えた。

 > 「けれど、彼の願いの一部はこの世界に残っている。」


 照は空を見上げる。

 白い雲の合間に、巨大なページのような光が漂っていた。

 そこに書かれる文字は、まだひとつもない。


 > 「あれが……“白紙の未来”か。」

 リアが微笑む。

 > 「テルが書くなら、どんな物語になるの?」

 > 「さあ……でも、もう俺一人で書くものじゃない。」


 照はリアとリクの手を取る。

 > 「これからは、みんなで生きて、考えて、

   言葉にできない想いを、少しずつ重ねていこう。」


 アリアが静かに頷く。

 > 「それこそが、“続く物語”。

   誰かが読む限り、あなたたちは消えない。」


 照は笑った。

 > 「だったら、俺はもう“作者”なんかじゃないな。

   ただの登場人物の一人さ。」


 風が吹き、白紙の空に文字が滲む。

 《第15話 白紙の未来 ―To be continued―》


 その筆跡は、確かに照のものだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ