8 水面下で準備は進むもの
準備は目に見えた形では進まない。
まずは何をするべきかを探り、どうやったら実行・実現できるかを決める。
設計図作りという事がまずは進められる。
必要とされてる事は国内の安定。
侵入する怪物の撃退と、侵入できないようにするための予防。
そして、いずれつきる資源の確保。
これらが考えられていった。
何にするにも資源の確保である。
何を作るにしても材料が必要だ。
これを取りに行かねばならない。
日本の国外に。
怪物を撃退するにも様々な機器や武器が必要になる。
これらを作るためには資源が必要だ。
これを取りにいかねばならない。
状況は第二次世界大戦の頃より悪い。
かつて日本は、資源の輸入を止められた事により、文明国としての息の根を止められた。
だから資源の獲得のために戦争に乗り出した。
今、日本は同じ状況に陥ってる。
ただし、今度は政治的な決着で解決をはかれない。
資源を自ら取りにいかねばならない。
誰に頼ることも出来ずに。
他の国を頼る事は出来ない。
既にある物を売ってもらう事は出来ない。
地中から取り出す事から始めなければならない。
これが出来なければ、確実に滅亡する。
幸い、どこに何があるかはわかっている。
異世界に転移する時に、埋蔵資源の場所などについては神から伝えられている。
貴重な情報だ。
資源を探す手間は省ける。
最低限必要になる資源も比較的近くにあるのがわかってる。
あとは実際に取りにいくだけ。
これがとにかく大変なのだ。
場所はわかっていても、そこまで行かねばならない。
行っただけではない、採掘をしなければならない。
採掘のための人と器具を用意して。
そして、採掘したものを運んで加工しなければならない。
それも海の向こうだ。
開けてない土地である。
港もない、道もない、鉄道もない。
電気・ガス・水道なんかあるわけもない。
その場に人を送り込むのだからこういった生活の基盤が必要になる。
当然食料も。
これら全てを用意しなければならない。
これが最も近いところでも、樺太から渡った場所にある。
今や日本の最北端の一つとなったこの場所の、更に向こう側に行かねばならない。
長大な距離をまたぐ必要がある。
この遠さが最大の障壁になっている。
加えて怪物の存在だ。
立ちはだかる敵を排除しながら進まねばならない。
単に人を送り込むだけでは駄目なのだ。
資源は確かにある。
だが、簡単に手に入るわけではない。
どれくらいの時間がかかるのか?
政府や企業、あるいは気になった個人は試算を行った。
多少のばらつきはあるが、どれもがほぼ同じ答えを示していく。
最低でも1年。
これだけの時間が必要になるだろうと。
これは日本の様々な備蓄の限界でもあった。
ものにもよるが、国内に存在する様々な資源の残り。
これらによって生活がまかなえる限界は、おおむね1年あまり。
正確に言うならば1年と数ヶ月ほど。
きりつめればもう少し伸びるが、その場合様々な活動が止まる。
もっとも単純なところでは、自家用車が動かせなくなる。
ガソリンを、石油を使うからだ。
これと同じ事が様々なところで起こる。
だからこそ、今すぐにでも資源の確保に出向かなければならなかった。
文明的な生活をしたければ。
「やるしかない」
誰もが決断を下した。
残り少ない資源を使い潰す前に、資源の採掘に行かねばならない。
このために日本は一丸となって動き出した。
転移から1ヶ月。
様々な計画が立てられていく。
そして、現地調査のために自衛隊の部隊が派遣されていく。
転移によって激減した自衛隊の人員をかき集めて。
先遣隊、特別編成された約4000人の自衛隊部隊。
一個旅団の規模である。
これが樺太から50キロの地点になる大陸の端へと向かっていった。
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