表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移した日本の国家運営 ~邪神や魔王も倒します~  作者: よぎそーと
1章 日本異世界転移

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/53

51 20年目、おおよそ一世代分の区切り

「よくぞ、ここまで」

 異世界転移から20年。

 どうにか文明を保ってきた地球最終世代の多くの感想だ。

 生き残ることが出来るのか、文明を保つ事が出来るのか。

 誰もが抱いた不安を、大奥の者の努力が押しのけた。



 人口は減り、産業の生産力は大きく落ち込んだ。

 資源の備蓄も手持ちしかなく、1年ほどしか保たないといわれていた。

 異世界にいる怪物にも襲われ、常に危険が周囲を闊歩していた。

 このままここで滅ぶのではないか?

 誰もがそう思っていた。



 しかし、そうはならなかった。

 上陸してくる怪物を撃退して。

 資源をとりに大陸に出向いて。

 森を切り開き、資源を採掘し。鉄道を敷いて採掘したものを日本に運んだ。



 持ち帰った資源を加工して原材料にして。

 これらをもとに、必要な製品を作り出していった。

 贅沢品は無理でも、生活に必要な道具だけでもと。

 得られる資源に限りがあったから、2025年水準の製品は作れないとしても。

 今の生活をどうにか保とうと必死だった。



 おかげで日本は文明水準をなんとか維持。

 最新の製品は作れず、完全に本来の水準を保つ事は出来なかったが。

 代わりになる製品や部品などで、ある程度を補う事は出来た。

 その分、様々な機器の性能は下がってしまったが。

 普段の生活で困る事はなかった。



 とはいえ、かつての生活にはほど遠い。

 得られる資源の限界から、どうしても作れるものが限られてしまう。

 知識や技術はあってもだ。

 材料がなければ、どうしても限界が発生する。



 今の日本は、おおよそ2000年ほどの技術水準に低下している。

 初期の携帯電話とインターネットがあるくらいだ。

 極端に生活水準が落ちるわけではない。

 しかし、それでも不便さが感じられてしまう。

 これは若年層で顕著だった。

「昔は大変だったんだな」

 こんな声が上がってくる。



 もっとも、これは地球最終世代の若い者に限られた。

 就職氷河期世代からすると、そんな時代を生きていたわけだし、元に戻ったとしか思わない。

 それでも、一度味わった便利さが失われると、やはり不便だとは思うのだが。

 いずれ戻ると信じて今を頑張るだけである。



 また、異世界で生まれた世代からすれば、生まれた時点でこの水準なのだ。

 転移前を知らないから比べる事が出来ない。

 なので、いくらか交代した文明水準を当たり前と思ってる。

 何が不便なのかすら分からない。

「そんなもんなのかな?」

 こんな疑問の声を上げるが常だ。



 ただ、地球時代の科学や技術は残ってる。

 その産物も各地に残ってる。

 これらによって社会基盤や産業基盤が保たれているのも理解している。

 実際に触れる事もできる。



 そして、これらが壊れた場合に代替されるものの質も。

 交換したものは明らかに質が落ちている。



 異世界にて作られる様々なものもだ。

 様々な家電製品や自動車など。

 地球時代に作られたいたものと、転移後に作られたものでは、性能に大きな差がある。

 こういったものに触れた時に、

「なるほど、昔はすごかったんだな」

と実感できる。



 そんな文明水準にどうにか復帰しようとはしたが。

 手に入る資源の限界で、今は本来の状態に戻れないでいる。

 地球時代でいうならば、1990年から2000年頃の水準を保つのがやっとだ。

 それが地球を知る世代からすると残念な事になっている。

 この水準を保ってるだけでもすごい事ではあるのだが。



「俺たちの世代じゃ、ここまでが限界か」

 そんなぼやきを漏らす者も多い。

 出来れば本来の水準に戻したかったが。

 それはかなわない事だ。

「出来れば、もう少し戻したかったけど」

 これから生まれる者達のために、そうしたかったという者は多い。



 たとえ、他の誰かのためではなくても。

 自分が生きてる間に生活水準を戻したい、上げたいと望む者は多い。

 それがかなわぬ事だと分かっていても。

「せめて、もう少しどうにかしたかったな」

 ため息と共にそうぼやく者は数知れず。



「こういう負担を次の世代におわせるのは申し訳ないが」

 年齢を重ねた世代からはこんな声もあがる。

「だが、がんばってくれ。

 俺たちにはこれ以上どうにも出来ない」

 託すべき未来を作るどころか、負担を押しつける。

 その事に無念を感じる者も多かった。



 せめて知識や技術を残そうと、誰もが出来る事をしていく。

 書き残せる事は書き残し。

 そうはいかない事は、やって見せて、やらせてみせながらおぼえさせる。

 後の者達が少しでも良いところから始められるように。



 若い世代もこのおもいによく応えた。

 身につけなければ自分たちが苦労するという事実と。

 手取り足取り教えようとする先達の姿勢に感銘を受けて。

 声を荒げるでもなく、拳が飛んでくるでもなく。

 要点やコツをどうにか伝えようとする。

 そんな者達の思いを無下には出来なかった。



 それでも伝えきれない技術もある。

 失伝するものが出て来るのは避けられない。

 それは誰もが覚悟をしていた。

 ただ、失われるものを少しでも減らす、その為に励んでいった。



「自分たちが生きてる間に」

 そんな思いで、地球世代は知りうる全てを残していこうとした。

 そんな彼らが生きてる間に、

「少しでも身につけないと」

と異世界生まれの世代も励んでいく。



 地球最後の世代と、異世界生まれ最初の世代。

 そんな彼らの時代はこうして始まり、終わっていこうとしていた。

 次の時代を迎えるために。

 次の時代も生き抜くために。



 それでも日本に出来るのは現状維持。

 外に出るための基盤をどうにかととのえる。

 それが今できる精一杯だった。






_______________________




ここで一区切り。

気に入ってくれたら、ブックマークと、「いいね」を



_______________________



支援サイトのファンティアもやってる。



【よぎそーとのネグラ 】

https://fantia.jp/posts/2691457



 支援、ありがとう。

 おかげで書くことができている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


_____________________

感想欄で取り上げられたことがあるので紹介しておく
http://mokotyama.sblo.jp/


 ファンティアへのリンクはこちら↓


【よぎそーとのネグラ 】
https://fantia.jp/fanclubs/478732


 投げ銭・チップを弾んでくれるとありがたい。
登録が必要なので、手間だとは思うが。

これまでの活動へ。
これからの執筆のために。

お話も少しだけ置いてある。
手にとってもらえるとありがたい。


_____________________



+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ