46 ゴブリンはいつの間にかやってきた
それは北から流れこんで来た。
恐竜がほぼ一掃された地域。
そこに何かが侵入してくる。
それを発見したのは、警戒と偵察に出ていた者達だ。
人型をした異形。
それはこの異世界で遭遇する初めての人間型生物だった。
緑色の肌をした、牙をはやした小柄な姿。
ゴブリンと呼ばれるファンタジー創作の怪物にそっくりだった。
その気質や気性も含めて。
倒した恐竜の死体に群がっていたそれは、やってきた探索者が発見。
初めて見る姿に驚く探索者に、ゴブリンはためらう事無く遅ってきた。
手にした石を投げつけ、木の枝に石を結いつけただけの石槌を握って。
当然、探索者は即座に反撃。
6・5ミリ猟銃で撃ち抜いていった。
ボルトアクションにセミオートで撃ち出される銃弾は次々とゴブリン倒していった。
その場にいた20頭ほどのゴブリンは、7人の探索者によって全滅した。
この情報は即座に持ち帰られる事になった。
倒したゴブリンの死体と共に。
そして、日本に敵の存在を伝える事になる。
ある程度予想はされていた。
恐竜の勢力圏の外には、他にも生物が存在する。
その中には集落を作ってる存在もいると。
こうした情報は政府から常にもたらされていた。
いずれどこかで遭遇するかもしれない、だから気をつけろという注意と共に。
その時がとうとう来た。
日本人の誰もがそう思った。
また、かすかな希望が潰えた瞬間でもある。
遭遇した瞬間に、いきなり攻撃を仕掛けてきたのだ。
交渉や対話など望めない。
出会ったら戦うしかないのだと。
どちらかが絶滅するまで。
この日、初めて遭遇する異種族。
人間型の怪物。
それは姿形からゴブリンと呼ばれる事になる。
このゴブリンとの小競り合いが、日本の勢力圏の北側で発生するようになった。




