35 恐竜の巣、他種族というこの世界の脅威
それは大陸側の上陸地点から1000キロの所にある。
多くの恐竜が集まり、居を定めている。
衛星から撮影された写真には、多くの恐竜がそこにひしめいていた。
その中でも特に巨大な個体がいる。
全長10メートルに及ぶ大型とされてる恐竜たち。
それらに比べても更に大きい。
画像からの予測では、全長は80メートルから100メートルに及ぶと考えられている。
「ありえない」
生物学に関わる者たちは、この言葉を誰もが口にした。
あまりにも巨大だ。
自分の体を支えられないだろうほどに。
だが、写真に写るその姿は、確かに巨大な生物である事を示していた。
学説や学問がどれだけ否定しようと、実際にそこにいる。
ならば現実こそが唯一の事実で真実だ。
現実が全てである。
学説や理屈が何を言おうと、理論が何を示そうと、現実と異なるなら学説や理論が間違っている。
現実こそが唯一の正解だ。
この単純な真理が様々な疑問や驚愕を打ち消した。
幸いな事に、学会も学問や理論にこだわる頑迷さを捨てている。
理屈を優先して理論を押し通す馬鹿はいない。
そういった人間は地球に残っている。
この場には、そこにある事実を素直に受け入れる者しかいない。
それでも、どうやってこの巨体を支えてるのかと疑問を抱く者は多い。
しかし、実際にいるならばそれを否定する事はなかった。
また、そこにある事実から予想できる事を考えていく。
その巨体をもつ存在がどのようなものであるのかを。
「ここは異世界だからなあ」
巨大生物に臨む者たちはこうも漏らした。
信じられないものが存在する世界である。
既に魚人や鳥人、巨大ウミヘビに巨大鳥といった存在を目にしてきた。
大陸には恐竜がいる。
こういった地球に存在しなかった者がこの世界にはいる。
ならば、ありえないほどの巨体を持つ生物がいたっておかしくはない。
それどころか、邪神や魔王がいるというのだ。
ならば地球の常識には当てはまらない存在がいても不思議はない。
むしろ、常識におさまるものばかりという方が異常だ。
だからこそ、今までの定説の中にとどまる事は出来なかった。
そこにある現実から真理を探っていく。
研究者として当然のこの姿勢を学者は取り戻さねばならなかった。
そんな彼らは、これまで見てきた恐竜の生態から、おおよその事を割り出していく。
「これも巣なんだろう。
今まで見てきたものと同じような」
恐竜は巣を作る。
適切な地点に居座り、卵を産む。
生まれた子供がある程度育つまで、そこに居座る。
巨大な恐竜の集団も、おそらくはこれなのだろうと考えられた。
規模が巨大なだけで、根本的な所は同じだ。
そんな恐竜の巣の中心が、巨大な恐竜になるとも考えられた。
巨大な巣を中心にして、様々な巣が存在するからだ。
人工衛星からの写真だけでは詳しくは分からないが。
「あとは実際にこれらを調べてみないと」
実際の恐竜の動きを見てみる。
解剖してみる。
写真だけでは分からない部分は、こうして実際に見てみるまでは分からない。
だが、そこに巨大な何かがいること。
それらが襲ってくる恐竜の中心にいること。
これは確かだ。
これからも異世界で活動していくなら避けては通れない。
日本が勢力をひろげていけば、いずれぶつかるのだから。
そうでなくても、巨大な恐竜のいる場所の付近にも資源が眠っている。
無視するわけにはいかなかった。
いずれにせよ、襲ってくるのだ。
ならば駆除せねばならない。
安全な場所を確保するために。
でなければ日本人が死ぬ。
目先にいる恐竜。
そして、大陸に、この異世界に存在する他種族。。
敵は多い。
これらに対抗して生き抜くために、戦う事は避けられなかった。
それに、ここから他の世界への侵略が始まる可能性がある。
ならばそうなる前に処分をしておかねばなるまい。
他の世界の安全のために。
侵害や侵略される悲惨さは、魚人や鳥人などでよく分かる。
こんな事をさせない為にも、今ここにいる日本が頑張っておきたかった。
「やるしかない」
閣議の席の最上位からの声に、居合わせた者たちが目を向ける。
「ここで生きていくしかないのだ。
ならば、最善を尽くそう」
神の声を最も聞く事が出来る神の子孫。
そんな天皇からの声、一同は頭を下げて賛同した。
御前会議である閣議は終わる。
今後の日本の進路を再確認して。
資源を確保しなければならない。
怪物を退けねばならない。
今後のために。
今すぐは無理だけど。
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