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異世界転移した日本の国家運営 ~邪神や魔王も倒します~  作者: よぎそーと
1章 日本異世界転移

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32 異世界転移から3年、どうにか必要なものは確保して

「これでどうにか安定はしました」

 報告を締めくくったその言葉を聞いて、閣議に参加した者たちは安堵のため息を吐く。

「どうにかなったか」

「長かったな」

 口々に感想が漏れてくる。



 異世界に国ごと転移して3年。

 日本はどうにか文明を維持出来るようになった。



 常に不安がつきまとう日々だった。

 異世界転移した時点で日本が持っていた様々な備蓄資源は1年と半年分。

 常に目減りするこれらに神経をすり減らす日々だった。

 大陸で資源の採掘が始まって、減少が緩やかになったのが転移の1年後。

 それでもゆっくりと備蓄量は減っていったのだが。

 これが3年目を迎える頃には、多くの資源の減少が止まった。

 今はゆっくりとだが、備蓄が増えてる状況である。



「とはいえ、何が起こるか分からん。

 少しずつでも備蓄は増やしていかないと」

 総理大臣の言葉に誰もが頷く。

 転移のおかげで備蓄のありがたさを実感した者たちだ。

 今後、何があるか分からないが、何かに備えるために資源の確保をしておきたいというのは当然である。




「とにかく、国内の貯蔵施設に資源を集めよう」

「そうですな。

 今、日本の石油コンビナートはほとんど空ですから」

 資源・エネルギーを担当する省庁の代表が声をあげる。

 備蓄がないのをもっとも理解するだけに、今の状況に危機感を抱いている。

 コンビナートを例にとってるが、それ以外も備蓄はほとんどない。

 実情をよく把握してるだけに、現状に全く安心をしていない。



「資源の買い付けは進めてますが。

 今、何かが起これば、もう再起は不可能です」

 備蓄が回復し始めたとはいえ、ほとんど資源が底をつきている。

「もし大陸からの資源が止まれば、そのとき、本当に日本は終わります」

 晴れやかな気分になりそうだった閣議の空気が、再び重くなる。



 良いことである。

 そこにある問題をしっかり見つめているのだから。

 都合の良いことだけを見てるよりはるかに良い。

 大本営発表のようなデタラメを吹聴するよりは賢明である。

 そういう人間だけが転移してるのだから当然だが。



「────備蓄の回復にはどれくらいかかる?」

 あらためて総理大臣が尋ねる。

 安堵にうつつを抜かすような気配はない。

「現状では1年で3ヶ月分の備蓄を確保出来るかと」

 この言葉に居合わせた者たち全てが落胆をした。

 資源の確保に成功したとはいえ、まだまだ安心できる状況ではないのだと。



「各産業で採掘した資源が使われてるのです。

 余りはほとんどありません」

 かつての水準を取り戻そうという復旧の真っ最中である。

 獲得した資源は、各産業で使われている。

 余りなどそうそう出るものではない。

「おかげで文明を保ててるわけですが……」



 悩ましいところである。

 文明を保とうとすれば、資源に余裕がなくなる。

 かといって、産業を停滞させれば文明を保つ事も難しい。

 資源の消費というか活用は当然である。

 だが、おかげで備蓄もままならない。



「それも、こんご更に難しくなるでしょう」

「何か問題でも?」

「いえ、問題というか。

 めでたい事なのですが……」

 エネルギー担当者の顔が困惑にいろどられる。



「その……子供が増えておりまして」

「ああ、確かにその報告があったな。

 なるほど、消費が増えるという事か」

 理由を知って閣議の一同も納得する。



 失った人口の回復。

 そのためには子供の誕生が必要だ。

 幸いな事に資源獲得が進み、日本全体の生活も安定してきた。

 おかげで出産も増えていっている。

 生活が安定するから子供を産もうという気にもなる。

 これ自体は喜ばしい。

 なのだが、日本の現状を考えると厳しいものもある。



「すぐにという事はないでしょう。

 ですが、今後資源の消費は更に増大します。

 今のうちに、より多くの資源を獲得しておかないと」

 この事実が素直な喜びを妨げる。



 人が増えれば、消費も増える。

 当たり前だ。

 なので、単純に人が増えるのを喜んでもいられない。

 しかし、人口が増えなければ労働力の確保も出来ない。

 どのみち、今後この世界で生きていくためには、より多くの人が必要になる。

「やるしかないか」

 避けては通れないのだから、覚悟を決めるしかなかった。



「あとは大陸側に工業地帯を作れれば良いのだが」

 これも頭の痛い問題だった。

 今は大陸から日本の工業地帯に資源をもってきている。

 加工するためにはどうしてもやらねばならない。

 なのだが、大陸で加工が出来るならその方が良い。

 輸送の手間がそれだけ減るのだから。



 しかし、工場を作ろうにも、大陸側の問題がある。

 周囲は怪物だらけ、常に警戒をせねばならないという危険な状態。

 さらには大河の洪水による水害。

 これらの危険をどうやってしのぐのか。



 また、水道に電気にといった社会基盤や産業基盤もまだととのってない。

 工場を作ろうにも、土台がないのだ。



 このため、輸送の手間はかかっても、一度日本に資源を運搬する事になる。

 そして、作り出した機械や製品を再び大陸に持っていく。

 行きと帰りで手間が増えてしまっている。



 それでもまだ状況は良くなってる。

 資源の採掘は進み、必要な量は十分に手に入れている。

 人口が増えても消費をまかなえる可能性も高い。

 極端な増大でもあれば別だが。

 今のところはそれを考えなくても良い。



 むしろ、今は少しでも多くの人手が欲しかった。

 やらねばならない事が多すぎる。

 資源の確保に怪物の撃退。

 この他、様々な作業に人が必要だ。

 人がいればより広く展開する事が出来る。

 まだ手つかずの資源を確保しにいく事が出来る。



「各地を取り返すためにも、人は必要だ」

 いまだに日本国内には魚人や鳥人、巨鳥が来襲している。

 一部地域には巣が作られてしまっている。

 これらの殲滅のためにも、人がどうしても必要だった。

 特に問題なのは離島だった。






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