30 森林地帯と怪物退治
道を作るのも簡単ではない。
これが草が生い茂るだけの草原であったなら少しは楽なのだろう。
しかし、日本が上陸した場所は木々が生い茂る森林地帯だ。
木々を切り倒していかねば道を作る事もできない。
そして、この木々の間を通って怪物が接近してくる。
全ては無理でも、可能な限り先に見つけて駆除をしておきたいところだった。
このために、空から偵察が行われている。
大型の怪物はこれで見つける事が出来る。
ただ、木々の中に隠れてしまう比較的小型の怪物は見逃しがちだ。
なので、こうした怪物に対処するために陸軍も出向いてきている。
数は少ないが戦車。
そして新開発された装甲車。
道路を行き来する機関銃搭載の高機動車など。
これらが道路建設中の工事現場と、物資や廃材を運ぶトラックを守ってる。
そして、森の中に入って、怪物を探して殲滅する者たちも。
車両が入る事が出来ない森の中は、こうした人が分け入って対処する。
他に方法がない。
実際、車両では入っていけないほど木々の間が狭い場合が多い。
せいぜい、バイクかバギーが分け入れる程度だ。
それを見越して、バイクに乗る偵察部隊も来ている。
最近導入されてきた四輪バギーの姿もある。
しかし、全体から見れば少数で、大半は自分の足で森の中に入っていっている。
なんだかんだで多くの地形に対応できる移動手段は足だったりする。
持って生まれたこの足を使い、多くの歩兵が木々の中に入っていく。
生態調査も兼ねている。
森の中に足跡はないか、怪物の痕跡はないか。
これらを見つけて記録する事も任務に入っている。
とはいえ主な任務というわけではない。
見つかればありがたいが、積極的に見つけるものではない。
求められる仕事は護衛であり、調査ではない。
森の中で警戒する途中で気づいたなら記録をして欲しいという程度だ。
それに遭遇戦もそれなりに多い。
工事の音が気になったのか、接近してくる怪物は多い。
これらを見つけて撃退するのが結構忙しい。
怪物の足跡などを見つける余裕もない。
あえて探す必要がないともいう。
接近してきた怪物の足跡をたどれば良いのだから。
おかげで、木々に隠された怪物の巣を発見する事もある。
見つければ巣を徹底的に破壊する。
その場にいる怪物も、怪物の子供も。
卵があれば全て破壊する。
残せば後の災いになる。
安全が欲しければ根絶やしにするしかない。
こうして怪物の居所をつかんで壊滅させていく。
歩き回れる範囲の中にいた怪物は残らず消えていった。
護衛任務なので工事現場から遠くまで出向くことは出来ないが。
より遠くへと続く足跡は、護衛とは別の偵察隊が調べる事になる。
出来るだけ多くの怪物を殲滅するため、怪物退治専門の部隊が送り込まれる。
それらが怪物の巣を見つけて殲滅し、工事現場周辺の安全を確保していく。
それはただの偵察ではない。
長距離強行偵察という、殲滅を求めた攻撃行動だった。
見つけ次第、殲滅・破壊せよ──という。
不可能ならば、目標の位置情報を記録して、後日あらためて殲滅となる。
驚異の排除を日本はためらったりしなかった。
やらねば、次に自分たちがやられるのだから。
生きるか死ぬか。
共存などありえない。
この現実の中で、妥協案などありえない。
相手を倒さないかぎり、自分が殺されるのだ。
二つに一つ。
ならば、選ぶのは己の生存である。
自己犠牲ほどバカバカしいものはない。
自分の利益にならない犠牲など誰も求めてないのだから。
使うかどうかも分からない道を作りつつ。
脅威になる怪物を倒していく。
いずれも今後の存続を求めた行動だ。
木々と怪物という違いがあるが、何かを倒しながら先に進んでいく。
そうしなければ生き残れないのだから。
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