3 怪物との初遭遇
邪神・魔王の支配する世界。
ここには大小様々な怪物が住んでいる。
これらが突然あらわれた日本を無視するわけもない。
まずは最も近くにいた者たちが日本に侵入していく。
これらは邪神・魔王と呼ばれる存在の配下というわけではない。
影響は受けてるが、さりとて支配や接点を持ってるわけではない。
独立した種族であり勢力だ。
だからこそ、誰かに気兼ねする事無く行動する。
それらは海から浜辺へ。
あるいは川を遡っていった。
最初に気づいたのは海辺の者たちだった。
彼らは海あら歩いてくる人影を見て驚いた。
その姿は地球で見る事のないものだったからだ。
全体の形は人間と同じだ。
だが、その姿は全く異なる。
肌の代わりに魚の鱗を持ったそれらは決して人間ではない。
魚人。
そう名付けられる異種族だった。
日本で最初の遭遇は、即座にネットを通じて日本中に広がった。
目撃者が持っていたスマートホン。
これによって撮影された写真が瞬く間に拡散していった。
そして、目撃者より更に危険な情報ももたらされた。
魚人は手にした槍とも銛ともとれる武器を投げつけて攻撃してきた。
その威力はかなりのもので、放たれた槍は目撃者めがけてまっすぐに飛んできた。
その様子も動画で撮影され、人々が目にする事となった。
幸いにも槍は目撃者に直撃する事は無く、すぐそばの足下に突き刺さる事になった。
地面に突き刺さるそれは、十分な殺傷力がある事を物語っていった。
あわてて逃げ出した目撃者は、幸いにも生還する事が出来た。
また、上陸した魚人には、近隣の警察官が対応をして事なきを得た。
警察官はためらうことなく銃を抜き、魚人を撃ち抜いた。
こうして異世界における最初の怪物との戦闘は人類の勝利で終わった。
なお、魚人の鱗はかなり硬く、刀剣や斧での切断はかなり難しい事がこの死体から判明する。
さすがに銃弾をはじく程ではなかったが。
しかし、対処する為にはそれなりの威力の武器が必要だというのがわかった。
また、話し合いも不可能なのもこの一件ではっきりとした。
最初の接触で魚人は手にした武器を投げつけてきた。
狙いがそれたから良かったものの、当たっていれば確実に死んでいた。
そんな攻撃を最初の一回目で行ってきたのだ。
話し合いをする気は一切無いのがわかる。
言葉が通じないという問題もあるだろう。
仮に対話を望んだとしても意思が通じない可能性はある。
しかし、それでも対話をしようという意図すら示さなかったのだ。
仲良くするという意思がないのがはっきりしている。
この一件だけではない。
他の場所で接触した魚人も同じ態度をとってきた。
別の海岸で、川を遡って上陸してきた魚人。
このどれもが初手で攻撃を仕掛けてきた。
手にした槍を投げつけてくる。
巨大生物の骨を削って作った槍は、ほどよく軽く、それでいて強靭な硬さとしなやかさを持つ。
必要な重みを備え、先端が鋭く削られている。
これが魚人の強靭な力によって投げ出されるのだ。
当たれば簡単に人間の体など貫通する。
薄いものならば鉄板する貫く。
こうも敵意をはっきりさせる魚人との交渉など望めない。
人々は身を守るために戦う事を余儀なくされていく。
まずは資源を、そう思っていた日本である。
しかし、それよりも先に我が身を守らねばならなくなった。
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