20 古くて新型の銃弾
陸上兵器も転移から1年もする頃には設計も終わり、試作品の制作段階にまで進んでいる。
既にあるものを土台とした改善や改良なも大きい。
何もない所から作るわけではないのだから。
この中でも最も求められていたのが銃である。
魚人や鳥人の上陸により、怪物は人々の隣にいるようになった。
誰もが対抗手段を求めていた。
この状況を憂慮している政府も、一人一人の武装に積極的だった。
大陸からの声もある。
現在の歩兵銃では威力が足りない。
もっと威力のある銃が欲しいと。
これらも考慮していた。
だが、かつて使われていた軍用の銃弾をそのまま使うのはためらわれた。
かつて使われていた7.62ミリ弾は威力はあるあるが、それだけに反動も大きい。
一発ずつ撃つならともかく、連射は不可能なほどに。
なので、この銃弾を再び使うのはためらわれた。
ここで注目されていたのが、更に昔に使われていた銃と銃弾である。
扱いやすく狙いやすく、反動もそれほど大きくない。
こう評価された38式歩兵銃。
これに使われていた6.5ミリ弾。
新たな銃としてこれらが参考にされていった。
威力については確実に現代の歩兵銃に使われてる5.56ミリ弾を上回る。
それでいて、7.62ミリより反動は小さい。
さすがに、そのまま再生産というわけにはいかないが。
現代から考えれば改良や改善の余地がある。
使う火薬や、薬莢の形などが問題になる。
なのでこれらを、あらためねばならない。
こうして銃弾の改良から始まった銃の設計は、比較的順調に進んだ。
なにせ、既にあるものを再利用してるのだ。
手を加えるところは減っていく。
それでも、それなりの時間は必要になったが。
それでも1年目には銃弾の試作品できあがり。
次の年で、銃もできあがった。
自動小銃ではなく、ボルトアクションではあったが。
だが、比較的構造が単純なだけに量産が出来る。
これがまず最初に使われた。
そして、国内や大陸で試験的に使われていった。
銃の射程や威力を確かめるために。
結果は良好だった。
魚人や鳥人には当然ながら十分な威力を発揮して。
大陸でも恐竜などを相手にかなりの効果を示した。
馬や熊くらいの大きさの怪物ならほぼ一発。
当たり所が悪くても、3発も撃ち込めば行動不能に出来た。
10メートル級の大型の怪物相手にはさすがに一撃での制圧は無理だったが。
それでも、10発20発と撃ち込めば行動不能にする事が出来た。
5.56ミリ弾を使う今までの歩兵銃では、これも難しかったのだ。
仕留める事もできずに終わる事も多かったのだから。
それを考えると、改良した6.5ミリ弾のもたらす効果は大きなものだ。
しかも、今までより遠距離から攻撃をしても損害を与えられる。
射程距離が伸びた事で今までより遠距離から安全に攻撃が出来る。
接近されたら終わりの人間にとって、これはありがたい事だった。
しかも反動が少ない。
5.56ミリ弾よりは大きいが、制御不能と言われた7.62ミリよりは小さい。
人間が無理なく扱える範囲に一応おさまっている。
この結果を得て、6.5ミリ弾を使う銃の開発は続行された。
今まで以上の威力と射程が手に入ると。
ボルトアクションではない自動小銃が作られ。
連射も出来る軍用歩兵銃型も作られていった。
これらも良好な結果を示し、量産の目処がつくとすぐに大量に作られていく事になった。
ボルトアクションと自動小銃は主に民間向けで。
また、命中精度の高さから、狙撃銃として軍や警察などで用いられていく。
人々はこの銃を手に、国内に入り込んだ怪物を駆逐してく。
クロスボウよりも強力な威力をもつこれらは、怪物を簡単に殲滅していくようになった。
とはいえ、音がほとんどでないクロスボウもそれなりに便利ではある。
以後、この二つはその時の状況で使い分けられていく事になる。
連射が出来る軍用歩兵銃型は、そのまま自衛隊で用いられていく。
今までの歩兵銃よりも威力が高く、連射をしてもそこまで扱いづらくはない。
反動も比較的小さく、射程距離もそれなりに長い。
おかげで、怪物相手にも十分に渡り合えるようになる。
兵士用の武器なので、派手さはない。
威力が上がったとはいえ、大砲や爆弾ほど大きな効果があるわけではない。
だが、兵士一人一人の戦闘力があがっていく。
これらが兵士に行き渡るにつれて、得られる戦果が確実に上昇した。
極端に大きな成果ではない。
しかし、全体の底上げはなされていく。
誰もが手にする兵器。
だからこそ、全員でもたらす結果は大きなものになった。
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