2 現状把握
「とんでもない事になったな」
多くの人間が口にした言葉。
これがあらゆるところで呟かれる。
ここ、日本政府でも同じだ。
日本に残留した。
あるいは異世界に転移した者たち。
その中にいた国会議員によって新たに作られた内閣。
当然のように日本に残った天皇によって指名されたこれらは、早速日本の運営に着手した。
とはいえ前途は多難である。
まず、人口が2000万人に減少。
これは、日本につながりがない、該当しないとされて地球に残されたという。
「縁もゆかりもない日本にとらえて、故郷と切り離すのはかわいそうだろ」
神々のこの意見により、多くの人間が地球に残される事になった。
異世界に転移したら行き来が出来なくなるからだ。
その結果として残ったのが2000万人。
当然、これまで通りに国を運営する事は出来ない。
単純に、規模が6分の1になる。
国会議員とて衆議院と参議院、あわせて24人になってるのだ。
様々な規模を縮小する事を考えていかねばならない。
ただ、まずは現状の把握である。
残ったのはどういう人で、何を仕事としてるのか?
どの地域に住んでるのか?
これの把握に努めねばならない。
また、周辺がどうなってるのか?
これも確かめねばならない。
邪神や魔王というのがどこにいるのかを知るためにも。
それに、資源を取りに行く事も考えねばならない
何がどこに埋まってるのかは、神から伝えられている。
しかし、正確な場所はしっかりと確かめねばならない。
幸い、様々な人工衛星も異世界に渡っている。
これらはこの異世界の衛星軌道にあるという。
ならばと通信をこころみて、異世界の姿をとらえる事にした。
国勢調査と人工衛星による偵察。
これらが同時並行で行われていった。
同時に備蓄されてる食料や燃料、資源。
稼働できる工場など。
これらの把握も急いでいった。
海外からの輸入が無くなった日本である。
早急に資源の確保をしにいかねばならない。
それまでは資源が入ってくる事はない。
だからこそ、備蓄がどれだけあるのかを調べねばならなかった。
何にしても現状の把握。
今の自分たちの状態を知らなければこれから何をするかも決められない。
日本がまず行ったのは、自分たちの調査だった。
唐突な国勢調査が実施される。
これとて、政府や地方自治体の役人がどれだけ残ってるのかを確認してからになった。
政府や地方自治体などの公的機関が自分たちの状態を確認して。
それから、まだ使えるネットを使って調査を開始する。
完全ではないが、まずは大雑把にでも状況を把握するため。
ネットが使えない者を取りこぼすが、これは仕方がない。
必要なのは、今すぐ、この段階での情報。
ある程度の取りこぼしはやむなしと割り切られた。
郵便物による国勢調査はそれからになる。
一応全世帯に向けて発送され、返事を待つ。
また、各地方自治体の役所にての受付も行われる。
足を運べる者だけでも確認がしたい。
動けない者がいれば、その場合は隣近所の者が協力したり、役所の人間が出向いていった。
政府だけが動いてるわけではない。
企業や事業者なども自分たちの状態を調べていく。
そして、確認がとれた事を政府やホームページを通じて伝えていく。
事業や業務をどのくらい遂行できるのかを伝えねば、企業活動など出来ないのだから。
今現在の日本の状態がはっきりとしていく。
国内にある燃料や資源。
食料の残り。
稼働できる工場や労働力。
判明したこれらを政府は隠すことなく発表した。
嘘は何も言わずに。
下手に安心させるために嘘をつけば、必ず悲惨な結果を招く。
大本営発表のように。
幸い、そんな事をしようという者はいなかった。
混乱を避けるためなどとほざいて楽観的な情報を流す馬鹿はいない。
そういった者は地球に残されているからだ。
この事は、後にアマテルから伝えられる事になる。
おかげで日本政府は正確な情報を国民に提示する事が出来た。
これらはネットを通じて2000万人の日本人が知る事になる。
それは希望も絶望もせずに済むものだった。
備蓄で1年は問題なく過ごせる。
だが、その先はこれからの行動次第。
この事実に、多くの日本人は覚悟を決める事になる。
自分たちの手で、その先を作るしかないのだと。
その為にも資源を取りにいかねばならない。
文明を維持するために最低限必要になるものを。
どこに何があるかは既にわかってる。
アマテルによって場所を示されてるからだ。
それを記録し、日本は資源獲得に乗り出していく。
しかし、その前に脅威が襲ってきた。
この世界の先住者、怪物が。
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