19 小さな主力艦
30メートル級小型戦闘艇。
これは水中に潜む怪物向けに特化していた。
敵の多くが水中を泳ぐ怪物なのだ。
水上艦艇用の武装は不要である。
その主武装は、前後の二カ所に搭載された対潜ロケット砲。
自動装填が出来るこの兵器は、離れたところに爆雷を投げ込む事が出来る。
探知機に見つかった怪物は、このロケット砲によって確実に仕留められていく事になる。
爆雷も怪物相手には効率的な武器だった。
魚雷のように自動的に敵に向かって行くことはない。
だが、魚雷よりは構造が単純で安く作れる。
威力も申し分ない。
大量にあらわれる怪物を殲滅するには十分だった。
必要な数をそろえる事が出来るのだから。
それに、水中探知機によって怪物の位置はすぐに分かる。
狙いをつける事も簡単だ。
探知機と連動して、狙いを自動的につけてくれる。
あとは引き金を引くだけ。
発射された爆雷は狙った所に発射され、そこにいた怪物を粉砕していく。
直撃させる必要もない。
爆発の衝撃は周辺を巻き込む。
全長30メートルにもなろうという巨大ウミヘビも、この範囲にいたら無事ではいられない。
爆発から30メートルの範囲にいれば即死か致命傷。
50メートルから70メートルの範囲内なら、即死はしなくても致命傷を与える可能性がある。
少なくとも体に大きな傷を与える。
行動は大幅に制限される事になる。
群れで襲ってきても、余裕を持って対処出来る。
さすがに10匹ともなれば手こずるが。
5匹程度の集団ならば苦戦する事無く粉砕する事が出来る。
緊急時には魚雷を使えば良い。
射程も命中精度も上回るこれならば、確実に海の怪物を仕留める事が出来る。
もっとも、魚雷を使う場面はなかなか発生しない。
そうなる前に、爆雷で撃破出来る。
巨大ウミヘビでもこうなのだ。
これよりも小さな巨大トビウオに巨大テッポウウオならば簡単に撃破できる。
巨大トビウオは、水面に出たところでファランクスCIWSや12.7ミリ機関銃で撃墜。
巨大テッポウウオが口から吐き出す水撃も、戦闘艇の船体には傷をつけない。
それどころか、顔を出せば機関銃の的になる。
空から襲ってくる怪物も撃墜出来る。
鳥人に巨鳥は、接近すればファランクスCIWSによって粉砕されていった。
魚人などお話にもならない。
人間より優れた体力をもっているが、それで戦闘艇に立ち向かえるわけもない。
数中から何も出来ずに船底を見上げるだけである。
まれに、甲板の上まで乗り込む者もいるが、そのときは搭乗員の手にした銃で撃たれるだけだ。
これで30ノット以上の速度をたたき出し、そこそこの航続力もある。
一週間くらいなら航海が出来るくらいの食料も積み込んでいる。
快適とはいえない居住性だが、ある程度は海の上に居座る事が出来る。
日本を遠く離れる必要がない今、沿岸に沿って動ける行動力があれば十分だった。
この戦闘艇のおかげで、沿岸部に近づいてくる怪物を撃退する事が出来るようになった。
沿岸部の沖に居住していた魚人が、群れごと殲滅されもした。
この戦闘艇が6ヶ月あまりの時間で建造出来る。
材料や搭載機器がそろってる事が条件だが。
それでも、一般的な戦闘艦艇を作るよりははるかに早く仕上げる事が出来る。
その分、数をそろえやすい。
そして、10人で運用できる。
一般的な戦闘艦艇だと、小型のものでも100人は必要になる。
大幅な人員の節約になる。
同じ人数で10隻の戦闘艇を動かせるのだから。
おかげで、広範囲に展開する事が出来る。
面を制圧出来る。
必要な戦闘力を持ったものが。
いずれはより大型の艦艇も必要になるだろう。
これらも維持はしなければならない。
だが、今はとにかく広く展開しなければならない。
質よりも量が求められている。
そんな量を確保するのに、この艦艇は最適だった。
一般的な艦艇に必要な人数で、10隻を動かす事が出来る。
長大な日本の海岸線を守ろうには、何よりも数が必要なのだから。
まして、今は資源地帯である大陸との航路もある。
これを守るために、とにかく数が必要だった。
資源が確保出来るようになると、この小型戦闘艇は次々に生産されていく。
数の上では海上自衛隊の主力となるほどに。
この30メートルの小型艦が日本の海を、生命線を守る事になっていく。
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