18 30メートル級戦闘艇
それを引き渡された海上自衛隊は面食らった。
事前に話を聞いていたが、それはあまりにも小さい。
これまで彼らが乗ってきた護衛艦に比べれば。
「これはなあ……」
おもわずぼやきも出るというもの。
彼らの常識からすると、どうしても疑問が出てくる。
はたして、これで戦えるのかと。
それだけ与えられた艦艇は小さなものだった。
全長30メートル。
排水量300トン。
大きさでいえば、魚雷艇やミサイル艇のようなものだ。
実際、用途はそれに近い。
武装は少ないし、用途も限定的。
全長100メートル以上。
排水量も3000トンや4000トン。
そんな艦艇に乗ってきた海上自衛官からすると、とんでもなく小さく思えた。
「これじゃあ格下げだろ」
こう感じるものもいた。
大型艦艇から、こんな小さな小型船への乗り換え。
それは、自分の価値を小さく見積もられたように思えた。
馬鹿馬鹿しい事だが、大きさで物事を判断する人間はいる。
そういった物には、この小さな艦艇への乗り換えは不満の原因になっていた。
しかし、この小さな艦艇こそが、現状にあわせて建造された戦闘用艦艇だった。
その為の機能がこの中につまっている。
この事は実際に乗ってみて、そして怪物と向かい合った者たちは即座に理解した。
必要にして十分な機能を備えてると。
警戒のためのレーダーに水中探知機。
鳥人や巨鳥相手のファランクスCIWS。
より小さな驚異のために設置された、無人砲塔の12.7ミリ機関銃2基。
そして、海中の怪物を攻撃するための兵器。
船体の左右に配置された3連装魚雷発射管。
更に艦首と艦尾にそれぞれ搭載された、対潜ロケット砲。
これらを小さな船体におさめた小型艦は、海から迫る怪物を確実に仕留める事が出来た。
たった10人で運用出来るにもかかわらず。
「なるほど」
能力について半信半疑だった乗組員も、実際に怪物と遭遇してこの威力を思い知る。
そうなると評価も変わる。
小さな船体に十分な攻撃力。
それが頼もしく感じられるようになっていく。
「これはすごい」
実際に航海をした者たちからの評価は概ね好評だった。
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