11 水中戦対策
自衛隊や海上保安庁の艦艇には武装が施されている。
だが、これらのほとんどが海上や空中への攻撃のためのものだ。
艦載砲や対空機銃、各種ミサイル。
これらは航空機や艦艇への攻撃をもっぱらとしている。
艦載砲は陸上も攻撃できるが、水中の敵に対抗できるものではない。
水中・海中の敵を攻撃できる兵器。
これは現在のところ、魚雷だけである。
これが問題だった。
攻撃力はある。
射程距離もある。
敵を倒すには申し分ない。
十分すぎるほどの性能をもってる。
だから問題だった。
魚雷はあまりにも高価なのだ。
この場合、作るのに高度な技術や部品が必要という意味になる。
そんなもの、今の日本に余ってるわけがない。
確かに全長20~30メートルの巨大なウミヘビは退けねばならない驚異だ。
しかし、高価で作るのが難しい魚雷を使う程なのか?
量産出来るなら良い。
しかし、今の日本に魚雷を大量に作る余裕はない。
となれば、比較的作りが単純な爆雷や機雷などを用いる事になる。
しかし、これらを撃ち出したり設置する事が出来るものは限られている。
少なくとも、近年の自衛隊の艦艇に、魚雷以外の水中攻撃力を持つ艦艇は存在しない。
これは高度な戦闘に備えての事である。
悪いことではなかった。
だが、異世界での事を考えると、これは問題である。
手頃な攻撃手段がないという事なのだから。
また、いくら巨大だとはいえ、ウミヘビ相手に自衛隊の艦艇を使うのも効率が悪い。
何千トンもの大きさを持つ自衛隊の艦艇では、燃料などを大量に消費する。
備蓄でやりくりしなくてはならない今、こんな事はできるだけ避けたかった。
また、数が足りない。
戦闘用の艦艇は、100人くらいの乗員が求められる。
大型の艦艇なら更に多くの人間が必要になる。
今の自衛隊にこれだけの人間を割く余裕はない。
当然、動かせる艦艇の数は減る。
この状況で周囲の海全体を警戒出来るわけがない。
数が圧倒的に足りない。
戦闘力も大事だが、今は多くの場所に展開できる数が欲しい。
大きすぎて少なすぎるのだ、敵に対して。
そこまで大きくなくてよい。
戦闘力もそこまで求めない。
もっと少人数で動かせて、数をそろえられる兵器が必要だった。
それが今の自衛隊にはなかった。
「どうにかしないと」
政府も自衛隊も対策を考えていった。
とにかく海を渡らねばならない。
その為には、海にいる怪物を撃退する戦力が必要になる。
だが、適切な兵器が今はない。
「しょうがない」
勿体ない話だが、手元にある資源で新たな兵器を作るしかなかった。
早速設計が開始される。
ただし、全てを新しく作るわけにはいかない。
時間がなさすぎる。
だから、今あるもの、今まであったもの。
これらを再利用する事となった。
小さくて、それなりに使えて、少ない人数で動かせて。
なおかつ、設計も建造もすぐに終わる。
そんな都合のよい艦艇を。
無茶苦茶である。
だが、やるしかなかった。
その結果は1年も経たずに出る事になる。
しかし、それまで待ってる余裕もない。
時間と共に備蓄は減っていく。
これを少しでも補うために、即座に資源を獲得しにいかねばならない。
やむなく日本は、今ある兵力で大陸に渡る事になった。
過剰ともいえる武装をもつ自衛隊の艦艇。
これらに上陸させる兵力を護衛させながら。
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