表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/6

第6話「拠点発見と、はじめての別行動」(後編)

翌朝、目を覚ますと、リピーナがすでに起きていた。


「バルー、おはよー!」


「……元気だな、お前」


「うん! 昨日ちゃんと寝たし! バルの顔見て安心してぐっすり♪」


「寝るなって状況だったろ……」


俺はあくびをしながら小屋の外へ出る。

昨日の雨の名残か、地面がしっとりしている。


(ここが拠点になる……か)


あのゴブリンとの戦いを経て、俺たちはようやく自分たちの居場所を見つけた。


「さて、とりあえず住めるように片付けるか」


「うん! 手伝うよ!」


崩れた屋根、割れた窓、苔むした壁。

けど、直せばまだ使える。拠点にするにはちょうどいい規模だ。


俺はまず入り口の蔓を取り除き、室内の枯れ葉を掃除した。

火の使える場所と、寝る場所。

それさえ整えば、まずは合格だ。


「あ、バル! あれ使ってみたら?」


「ん?」


「昨日食べたゴブリンのスキル、《短剣使い(弱)》だよ!」


「……そういえば」


俺は短剣を取り出し、腰に装備してみる。

すると不思議と、手に馴染む感覚があった。


「なるほどな……これは戦いやすくなってる気がする」


壁にかかっていた古びた布を短剣で切ってみる。

抵抗もなく、スッと切れた。


「確かに、腕が上がってるな」


「すごーい! バル、かっこいい!」


「そりゃまあ、食ったからな……」


ゴブリンから得た能力が、こうやって実際に役立つのを実感すると、

少しずつだけど、この世界に馴染んでいく自分を感じる。


「よし! 今日からここが私たちの拠点だね!」


「……ああ、頼りないけど、俺の家だ」


「うふふ、じゃあごはん作ろう! 今日は……木の実と干し肉でなんとかなるかな?」


「相変わらず飯には本気だな」


「当たり前! 暴食の神だからね!」


リピーナが笑う。俺も、つられて笑った。


新しい生活が、今ここから始まる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ