ポーション
アシーミ様に、また来ると言ってセンテーフィさんの所からラハニスと一緒にフォティノース王国に戻った
大事な話だと言えば落ち着いて話せるフィトーさんの調合室に案内されアステリが防音魔法をしてくれた
セリーニさん達と円になって座りドラゴン達の話をする
私が流暢に話せるようになっていることに驚きつつフィトーさんは落ち着いて聞いていたけどアシーミ様と聖属性の話をした瞬間イスから落ちた
「だ、大丈夫ですか、フィトーさん」
「…だ…大丈夫
でも、そうか…聖属性が使えるからか…」
「何かあったのか?」
「気のせいだと思ってたんだけどな
ミヤは今まで何回か治癒魔法を使ってるんだけど、その時に身体が光ってた時があったんだ
微々たる光だったし逆光になってた時もあったから気づいてる人は少ないとは思う」
フィトーさんがイスに座りなおしながら言った話に隣に座るルルーディも頷いている
その時の相手は誰だったか訊くと、ほとんど第一軍隊の人だった
口が固いし本当かどうか分からない話をむやみやたらに言いふらす奴らじゃないとアステリが保証する
広まっていないことを信じて変に勘ぐられても困るから緘口令までするのは、やめてもらった
「それで話を戻すけどミヤは聖属性魔法が使えるってことだよね
緘口令まではいいって言ってたけど聖女と発表したほうが良いんじゃないかい?
今より良い生活できると思うけど」
「えっ⁉︎ ミヤ辞めちゃ嫌だよ!」
「ふふっ、ありがとうございます
大丈夫、辞めませんよ
私は今の生活に満足してるんです
注目されるのも好きじゃありませんし普通に働いている今が幸せですから
それに聖女と発表しなくても聖属性は使えるみたいですし」
私がそう言うとルルーディは安心したように笑ってくれる
フィトーさんも、なるほどと納得して私が医務室に居続けることに反対する理由がないみたいで安心した
それでポーションに私が聖属性の魔力を入れたら瘴気を浄化できるものにならないか訊く
試しにやってみようかと試作中の浄化ポーションを取り出して渡してくれた
「ポーションに魔力を入れるのは簡単だよ
さっきも言ったけどミヤは、もう何回か治癒魔法を使ってるからね
魔力の流れを理解しているから、それを相手ではなく手元のビンに集めればいいだけなんだ」
そう言われ私は意識を集中してビンに魔力を送り込んでみる
ある程度送るとビンの中の液体が光りだした
虹色のようで白く光るポーションを見てルルーディが綺麗と呟く
フィトーさんに渡すとアステリとセリーニさんも覗き込んだ
「成功か?」
「使ってみないと分からないな
教会の近くで瘴気に侵されていた人たちの定期検診がこれからあるから他の試作中のポーションと合わせて持っていってみるよ
明日の朝もう一度ここに集まってくれるか」
そう言って解散した次の日
フィトーさんが出勤してくる頃にセリーニさん、アステリ、ルルーディが調合室に集まった
同じように円になって座りアステリが防音魔法をかけてくれる
「ミヤ、もう一度ポーションに魔力を入れてもらえるかな?」
そう言ったフィトーさんからポーションを受け取って魔力を込めると昨日と同じように光りだした
それを見るとフィトーさんは神妙な面持ちで
「結論から言うと瘴気に侵されていた一人にミヤのポーションを使ってみた
そしたら真っ黒状態の腕一本を綺麗に治したんだ
だからポーションでも問題なく浄化されることが分かった」
良かったと息を吐くと加えてレモニーさんから瘴気が濃くなってきているらしいことを教えられたと言われた
ドラゴン達でも、もう抑えられなくなっている
女神アシーミが言っていた通り暗がりの森に限界がきているのだと分かった
「それでミヤ、ポーションの量産を頼んで良いかい?
このままじゃ瘴気が溢れてくるのは時間の問題だ
魔力のことも考えて一日に作る量は決めておこうと思う
もちろん君のことは誰にも言わないと誓おう」
「じゃあ俺たちも含めて契約しようか
ミヤは書面か魔力どちらが良いかな?」
私が頷く前にセリーニさんが、そう言った
魔力契約が何なのか分からず首を傾げると
「まだ触れたことはなかったか、ごめんね
魔力契約は最も重い契約で神官立ち合いの下、お互いの魔力を一枚の紙に込めるものなんだ
書面契約は普通の紙でできるけど魔力契約での紙は特殊で魔力を込めるための魔石が埋め込まれてる
その紙に書いてあることを違反した場合その場で天罰が下る
神に嘘を吐いたってことだからね
魔石から魔力を辿られるから絶対逃げられないんだ」
要は誰にも喋らないという契約をしてくれるのだろうけど言われた話に血の気が引いた
逆らう人が居ないから天罰の内容は誰も知らないらしい
アステリもルルーディも良い考えと言い始めたけど、そこまでしてもらわなくていい
こんなワガママに、そんな重い契約なんて必要ないと思う
優しいみんなのことを信じている
「その心は立派だけど、そこにつけ込んでくる悪者は居るんだ
せめて書面では残しておいたほうが良い
喋った場合の違約金なんかは決めておいて損はないよ」
「喋らないって口ではなんとでも言えるからな」
「それは…そうだけど…」
「それじゃ交換条件で書面契約すればいいんじゃない?
ミヤが聖属性を使えることを口外しない代わりにポーションを作ってもらう、とか」
ルルーディの提案に、それなら納得できると了承した
話し合いながら字が綺麗なセリーニさんが書面に内容を書いていってくれる
内容は、さっき言ってくれた私の属性を口外しないことを条件にポーションの制作をすること
一日制作する数は決めて、もし追加する場合は一本につき金貨五枚支払うこと
暗がりの森の浄化は私の了承をもらった上で、ここに居る人たちが同行すること
私の体調や意志を優先で有無を言わさない無理矢理は絶対ダメ
これらのことを違反した場合は金貨二百枚を払うこと
ここでの金貨は日本で言う一万円と同じ価値がある
だから払いすぎな気がしたけど違約金としては妥当だとセリーニさんに言われてしまった
ここでの相場が分からないから従っておくことにした
そして最終確認をした上で私がサインすると、みんなもサインをしてくれる
書面がなくてもポーションは作るつもりだったけど、これからのことを考えるとこうして良かったんだろう
今までのみんなを知っているからこそ罪悪感もあったけど信頼感も大きくなった
「今さらですけど…フィトーさんは良いんですか?
瘴気の浄化ができるようになったら多分ポーションを持ってるフィトーさんのところに人が集まると思うんですけど…」
「んー…確かに作り方を訊かれたりしたら面倒だなとは思うけど…まぁ適当に流すから大丈夫だよ」
笑うフィトーさんに、そういうことじゃないと言おうとしたけど
「フィトーの心配はするだけ無駄だぞ
こいつ調合が好きすぎて色んなポーション作ってるから人が集まってくるのには慣れてんだ
こいつしか作り方知らないのもあるしな」
「いつも適当に躱してるから大丈夫だと思うよ」
アステリとルルーディにそう言われ、セリーニさんの反応も見るに大丈夫なのだとやめておいた




