捜索と遭遇
「計算上だと、この辺り」
ラハニスとシロガネの同行を許しスコティノース王国方面に向かい始めて数時間
カスタノがそう呟くと同時に全員が辺りを見回した
すると、どこからか魔力鳥が飛んできた
それは迷うことなく俺へと向かってきたため受け取ったが内容を聞いて目を丸くする
「どなたからですか、軍隊長?」
「ミヤからだ
男たちから逃げたらしい
一人だと言っている」
それを聞いて全員が小さく驚いた声を出した
あたり前だ
もう暗くなっている今わざわざ一人になるなんて死にに行くようなものだ
ラハニスとシロガネは俺と共に居てもらうことにし第一と第二で配分し三手に分かれた
探査魔法を使いながら捜すものの暗いのと大声も出せない状況のせいか、なかなか見つからない
なるべく戦闘は避けたいからだ
「…居るな」
「⁉︎ ミヤか? どこだ⁉︎」
するとラハニスが何かを見つけたようで俺たちはその一言に彼の視線の先を注視した
だが、ここからじゃ見えんと言われる
土属性でラハニス以上の使い手は居ない
俺たちじゃ認識できない距離にミヤは居るんだろうと分かるとマヴロスが暴れだした
「っ! どうしたマヴロス! 落ち着け!」
「行かせてやれ
襲われておるのが分かったんじゃろう」
ラハニスの言葉に再びマヴロスを見る
心配しているような瞳で俺を見上げていた
「カフェティ! ラハニスの側に!
あと魔力鳥でカスタノ達と合流してくれ!
他は俺の後に続け!」
「「はっ!」」
そう言うとマヴロスは一直線にラハニスが見ていた方向に走った
俺にはまだ何も見えない
感じ取ったマヴロスを信じるしかないと木々の間を潜る
枝が頬をかすり小さく切れた
「気にするな! 走れ!」
それに気づき速度を落とそうとしたマヴロスに叫んだ
心配そうにしながらも従ったマヴロスと共に木々を抜けると走っているミヤを見つけた
どうやら何かから逃げているようで息が上がっている
生きていたことに安堵しつつ彼女と並走するように近づく
だがそこで動きが変だということに気づいた
彼女の名前を呼び俺たちに気づかせても走る速度を落とすことなく、そのまま逃げ続けている
しかも両手首を縛られたまま
「っ上!!」
「「軍隊長!」」
やっと出たであろうミヤの声と後ろを走ってきていたカスタノ達の声が重なる
直ぐに飛び退くと何かが強く地面を抉った
それが魔物であると、しかも人型であると理解するのに時間はかからなかった
「……っ!」
真っ黒な目と視線が合ったが魔物は俺からすぐにミヤに視線を移す
それに気づいた彼女はすぐに立ち上がり走りだした
狙っているのが彼女なのだと理解しマヴロスと急いで追いかけ彼女を抱え上げる
「駄目っ!!
アステリ達も攻撃される!」
魔物からの攻撃を躱しながらミヤの手首の縄を切った
なんとなくだが考えていたことは分かった
ミヤは助けを求めたい状況でも周りを心配して、わざと人気の無い場所に魔物を誘導していたのだろう
自分を攫った男たちも
軍に入り魔物と何度も戦っている俺たちでさえ心配して
「俺たちは慣れてんだ!
自分の安全を最優先にしろ!
迷惑だなんて一切思わないからな!」
「でも…っ」
「死んだら俺らが悲しまないとでも思ってんのかっ⁉︎」
そう怒鳴ると彼女は目を丸くした
ミヤは借りを作りたがらない
彼女らしいが、もっと自分を大事にしてほしいと言うと彼女は息を切らしながら謝る
そして振り落とされように俺の服をしっかり掴んだ
分かってくれただけでも良かったと魔物からの攻撃を躱し続ける
その間も隊士たちが魔物に攻撃をしてくれているが簡単に避けられる
魔物はミヤを見続けていた
逃げながら俺は縄を切ったナイフを彼女に渡す
もしもの時のために持っていてほしいと言うとミヤは目を丸くしつつ頷いた
なぜミヤが狙われているのかは分からないが魔物と戦えるのは俺たちだけ
魔物はこちらの攻撃を躱しながら的確にミヤを狙ってくるため長引かせてはいけないと隙を見てマヴロスから降り腰から剣を抜いた
「マヴロス、ミヤを頼むな」




