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誘拐

ラハニスを始めとするドラゴンが頻繁に現れることが国民に正式に広められてから数日が経った

フェンリルのしろがねも含めて私との関わりは伏せてもらっているけど王城に勤めている人たちでもドラゴンのお気に入りになっているのはセリーニさんかアステリなんじゃないかと判断ができないでいるみたい

二人が否定も肯定もしていないからだと思う

目立ちたくないという私の我儘を聞いてくれていて感謝しかない


「ミヤさん」


そんなことを考えながら今日は休日だったから買い物をしていると聞き覚えのある声に呼ばれた

見ればカフェティさんが手を振っていて隣にカスタノさんも居る

公務中だという雰囲気もなく、お疲れ様ですと言いつつ首を傾げた


「今日は我々休みなんです

良かったら一緒に一杯どうですか?

奢りますよ」


断る理由もなく一杯だけと空いていた椅子に座る

二人が持っているジョッキを見れば半分ほど減っていた


「この時間から飲むこと多いんですか?」


「…軍の規則で公務の前には飲まないように徹底されてるから」


「以前に大量に飲んだ人が翌日になっても酒の匂いをさせていたことが問題視されまして

フィトーさんが調べてくれたんですが酒の匂いが消えるまでに半日は時間を要することが分かったんです

寝たから大丈夫だと言っても訓練や戦闘になれば、いつも以上にふらふらしていて危険だったので飲むなら休日の昼間にしようと規則として定めました」


なるほど、とカスタノさんの後に補足された説明に納得する

飲む量にもよるけどアルコールの分解には時間がかかる

魔物と戦う第一軍にとっては懸命な判断だと思った


「ミヤさんは買い物?」


改めて乾杯して一口飲んだ後カスタノさんから訊かれた

暑くなってきて食欲が無くなってくるからトマト、ナス、キュウリを買ったと買い物袋の中を見せる

そうめんがあれば良いんだけど、そもそも麺が存在しない

無いとなると食べたくなってしまうのが不思議なもので魔法も上達しているから余裕があれば作ってみようかと思っている

なので今晩は冷しゃぶにしようと飲み終わったら肉屋に行くことを言った

すると興味津々といった様子で何を作るのか前のめりでカスタノさんは訊いてきた


「カラアゲで胃を掴まれたらしいんですよ」


クスクス笑いながらカフェティさんに言われ、頷くカスタノさん

レシピを買って自分で作ってみたけど最初は上手くいかず大量に作れている私すごいと認識してくれたらしい

私以上に料理が上手な人は日本にはたくさん居たけど、やっぱり褒められるのは嬉しくてニヤけそうになる顔を必死に抑えた

その後、二人に作ろうと思っている料理を説明した

美味しそうだと目を輝かせていた二人が少し可愛かったのは黙っておこう



          ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



そろそろ昼の時間だなと話しながら討伐依頼があった街道沿いについて話しているとルルーディがポーションを届けに来た

浮かない顔をしていると思うとミヤを見ていないか訊かれる

今日は見ていないと部屋に居た全員が答えると彼女は少し考えて他にも訊いてみると言って出ていった

何かあったのかと思ったが俺たちは一日会わないことなんて、よくあることだ

多分、他の場所で仕事をしているんだろうと気にせず昼休憩に入った


「アステリ様!」


だけど昼休憩から戻るとルルーディが慌てた様子で再び部屋に入ってきた

後ろにはセリーニとフィトーと何故か第二軍隊の人間も居る

ひとまず、かなり焦っているのか上手く説明できなくなった彼女を落ち着かせる

カフェティが俺に縋るルルーディを落ち着かせながらフィトーにどうして焦っているのか訊いた


「実は今日…ミヤが医務室に来ていないんだ

無断で休む子じゃないから何かあったのかと魔力鳥を飛ばしたんだけど返ってこなくてね

セリーニと一緒に家に行っても誰も居なくて

どうしたのかと思っていたら第二軍の人が見覚えのある鞄を持っててね

訊いたら野菜と一緒に落ちてたらしいんだ」


これがその鞄ですと後ろに居た第二軍が差し出してきた

中を確認するとハンカチと見覚えのある紙の束とペンが入っている

紙の束を捲ると大半が俺では読めない文字で書かれていた

セリーニ曰く古語らしく間違いなくミヤの鞄だと言う

近くに落ちていた野菜は潰れていた上に鳥に食べられていたらしく間違いなく暴れた後だった


ーー人攫いに遭ったか


「落ちていたのは野菜だけ? 肉は?」


するとカスタノが第二に詰め寄りながら訊く

野菜だけだと返されると地図を広げて見始めた


「実は昨日の昼間、私とカスタノは飲み屋でミヤさんに会ったんです

その時すでに野菜を買っていて、これから肉を買いに行くと言っていました

肉がなかったのなら私たちと別れた後に何かあったのだと思います」


「なるほど」


「加えて先程、門番をしていた者から報告されました

冒険者のような格好をしている三人組の男の一人が中に女性一人なら入りそうな袋を背負っていたと

城下に入ってくる前に確認したのですが寝る時の毛布やらが入っていただけらしく持ち物が変わっていなかったことと同じ門番が担当したために出る時の確認を怠ったそうです」


担当した者には何らかの罰を第二の隊長から与えるとして、その男たちが出たのは、いつ頃なのか訊くと昨日の夕方に西門かららしい

カフェティ達が会った昼からの時間を考えると行動に無駄がない

かなり慣れている


「アステリ様…っ」


話している間に落ち着きつつも変わらず真っ青な顔でいるルルーディ

大丈夫だと頷きながら地図を見ながら計算をしているカスタノに呼びかける


「夕方に西から出たなら、この辺りかもしれない

ここに廃教会があるから留まるだけなら十分だと思うし街道を通っている可能性も低い」


確かに可能な距離だと地図を見ながら頷く

カフェティとカスタノに小隊を組むよう指示

フィトーとルルーディには変わらず魔力鳥を送ってもらうことを頼んだ

こちらの動きを悟られないように、どこに居るのかと訊くだけに留めるように


「第一軍隊長、我々第二の人間も使ってください

第二軍隊長より許可は得ています」


だから最初から居たのかと納得した

人攫いは対人間

魔物を相手にしている俺たちでは分野が違うし、この国ではもちろんのこと近隣の国でも人買いは禁じられている

動向を先読みできる人員をあててくれた第二軍隊長に感謝した

セリーニにも確認をとり売りに出すと考えるならば唯一禁じられていない国をあげる


「スコティノースに向かうぞ」

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