連れて
「なるほど、そういうことでしたか…」
ミヤさんが入っていってから、なかなか洞窟内から戻ってこないのを心配していたが杞憂で終わった
狼が一緒に出てきた時は驚いたがフェンリルだと聞いて、もっと驚いた
軍隊長に経緯を聞き、やっと理解する
フェンリルは洞窟から出てきてすぐに遠吠えをし始めた
すでに灰になり風と共に消えていった母親に吠えているのだろうか
「気づいてなかったのか」
「フェンリルは警戒心が強い
俺たちドラゴンの前に出てくることなんてまずない
あれがフェンリルの気配だと知らなくて当然だろう
あの爺なら知っていたかもしれないがな」
爺というのは、おそらくラハニス様のことだろう
そう言って説明を終え、この件は無事に完了したということで国に帰ろうとした
すると服を咥えミヤさんが帰るのをフェンリルが止めていた
【行かないで聖女様…っ】
そう言っていると第二には聞こえないように教えてもらった
一人は寂しいかららしい
グリーゾ様も賛成していたがミヤさんは頭を横に振った
「ごめんなさい
人間がこの山に住むのは厳しいの」
その言葉に軍隊長とセリーニ様が頷く
スタフティス山は簡単に言えば雪山だ
今は吹雪いていないとはいえ常に雪が降っているし寒期は人間は立ち入ることができない
【でも聖女様と一緒に居たいです…】
フェンリルは悲しそうに鳴きながら、そう言ったらしい
助けてくれたミヤさんに懐いたらしく離れようとしない
どうしたものかと考えていると軍隊長がセリーニ様と何か話していた
頭を掻いた後フェンリルに近づき
「ミヤと一緒に居たいんだな?
人間を襲わないって約束できるか?」
【できるよ!】
「どんなにバカにされてもだぞ?」
【約束する!】
ミヤさんの通訳ありで会話をすると長い溜息を吐いた
「王城の管轄下であれば可能かもしれない
俺かセリーニが世話するって名目で
緊急時を除いた人間への攻撃禁止を確約してもらわなきゃいけないけどな
それでも良いなら歓迎する」
そう言われたフェンリルは嬉しそうに尻尾を振り良かったねとミヤさんに頭を撫でられていた
それを微笑ましく見ると同時に大丈夫なのか疑問に思う
軍隊長なら許可は貰えるかもしれないが相手はフェンリルだ
まだ子どもの今なら良いかもしれないが、これからが分からない
どのくらいの大きさになり、どれくらいの強さになるのか分かっていないからだ
人間を襲わないと確約してもらったところで本気で暴れられたら我々は成す術が無い
「じゃあ帰るぞ」
でも軍隊長に放っていくという選択肢は無かったんだろう
そう思いながらグリーゾ様に乗らせてもらった
ーー似たような境遇の持ち主だから…




