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依頼

あれから早くも一ヵ月が過ぎようとしている

クレムは前と同じように動けていてフィトーが定期的に触診しているが大丈夫らしい

変わらず楽しそうに訓練しているのを見れて安心している

ちなみにあの後ミヤの許可なく聖属性魔法について部下に話した俺は違約金を払わないといけないという話になった

そう契約書に書いていたし了承してサインもしていたからだ

でも新たにカフェティ達が口外しないという契約書を作成してくれたし、あの時は話さなきゃいけない状況を作ってしまった私にも非があるからとミヤに止められた

そのまま話は無くなり、あいかわらず人が良すぎると思いながら討伐依頼があった書類を睨んでいると突然、視界が暗くなった

後ろを見ると逆光で分かりづらかったが部屋を覗いているラハニスが居た

目を丸くした後、急いで窓を開けるとラハニスは緑の長髪の俺に変身し部屋に降り立った


「久しぶりじゃのぅ、元気だったか?」


「今、心臓が止まるかと思った」


「冗談も言うんじゃな、主」


そんな軟弱ではなかろうと付け足された言葉に、まぁなと答えながら窓を閉める

珍しく俺が部屋に一人だったから良かった

まぁ大きいドラゴンが現れれば目につかない訳じゃないため街は騒ぎになってるみたいだが

ひとまず置いておいて何しに来たのかと訊くとミヤに会いに来たらしい


「どこに居るのか分からなくてな

そしたら主が居るのが見えたから訊こうと思ったんじゃ」


確かに城の中はドラゴンにとって複雑だろう

妙に納得して医務室まで案内すると言うとラハニスは嬉しそうに笑った

部屋を出ようとするとカフェティが勢いよく扉を開け、ぶつかりそうになる

かなり焦っているようで息が荒かった

俺とラハニスを見て目を丸くしていたが慌てている理由を訊く


「ドラゴンが現れました!」


「あぁ…慌てなくて大丈夫だ

緑のドラゴンなら…」


「緑ではありません! 黒です!」


そう言われラハニスを見ると悪びれもせず忘れておったと思い出したように言った

溜息を吐いた後カフェティにラハニスについて説明しながら急いで向かう

中庭に着けば第一軍隊に囲まれた黒のドラゴンが機嫌が悪そうに唸っていた

事態が分からない隊士たちは攻撃していいのか分からないものの剣を抜き構えている状態だった

ひとまず間に入って止め武器を下ろすように言う

突然現れれば驚くだろうが、ここで暴れられたら厄介だ


「主も短気じゃのぅ

人間にとって我らは脅威なんじゃから少し落ち着かんか」


そう言いつつラハニスが黒のドラゴンに変身魔法をかけた

さっきまで一緒に居たからか髪が黒いカフェティの姿になっていた

カフェティ自身は自分の姿に変身したことに驚いていたが俺が説明すると納得する

ざわつく第一軍隊を落ち着かせるとセリーニも来たのが見えた


「先に攻撃してこようとしたのは人間たちだ」


「だとしても唸るでない

敵意があると思われればミヤも怯えてしまうぞ」


ラハニスにそう言われ黒のドラゴンのグリーゾは顔を顰める

ミヤに会いに来たというのは、どうやら彼もらしい

すると何があったのかと近づいてきたセリーニと同時くらいにミヤも現れた


「買い出しに出てたら城にドラゴンが居るって騒ぎになって…ラハニスとグリーゾさんが見えたから戻ったほうが良いのかなと思って…」


急いだらしいミヤは息を切らしながら言った

セリーニと合わせて説明して医務室に行くように

部下たちや大臣たちには説明しておくと言って四人を見送った



            ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



ドラゴンであるラハニスとグリーゾさんが城に来て騒ぎになった

だけどアステリが説明しておくと言ってくれて私たちは医務室に移動することができた

そして座って落ち着いて話せるようにするとラハニスが私を見て微笑んだ

少し前に私の魔力を感じ取ったらしく、また前のように無茶をしていないかの確認をしたかったらしい

多分クレムさんの治療をした時だと分かり説明すると、あまり無茶はするなと言われてしまった

そしてラハニスに促されてグリーゾさんが眉を寄せながら言った


「頼みが、ある」


セリーニさん、フィトーさん、ルルーディ、私が首を傾げるとラハニスが溜息を吐きながら誰に何を頼んでおるのか言わんと進まんぞ、と付け加えた


「分かっている、少し黙っていろ爺!」


「二百年くらいしか違わんじゃろぅが…」


言い合う二人の様子を見て、なんだか反抗期の息子を相手にしている親みたいだなと思って小さく笑ってしまった

グリーゾさんに睨まれたから謝ったけど

それで頼みというのは何なのかセリーニさんが改めて訊くと


「俺の住処に妙な気配が棲みついていてな

その正体を突きとめてほしいんだ」


「妙な気配?」


「魔物なのか人間なのかも分からない

俺が入れない穴に棲みついてるんだが穴から出てこなくてな

魔法を放てば山ごと吹き飛ばしてしまうかもしれないと思うと手が出せない」


「主、力加減下手じゃからのぅ」


その言葉にグリーゾさんは、うるさいと怒鳴ったけどラハニスは気にした様子はない

フィトーさんが今みたいに変身魔法で人間になって近づけば良いんじゃないかと提案したけど人間だった場合、最悪のことが起こるかもしれない

そうなるよりも私たちに頼んだほうが良いんじゃないかと思ったらしい

さっきも言ったように力加減が下手で、しかも短気なんじゃとラハニスは目を細めて言った


「その何かが何の目的でグリーゾ殿の住処に居座っているか

それを探ってきてほしいということですね」


静かに聞いていたセリーニさんが口を開き確認した

グリーゾさんが肯定すると経緯の説明と調査の承諾を貰ってくるから少し待っているように言ってセリーニさんとフィトーさんが出ていった

残されたルルーディと私はポーションの在庫を確認して補充する作業に入ろうとしたけど


「おい娘、お前は俺の相手をしろ」


机を叩きグリーゾさんが私に座るように促した

ルルーディを見て許可を貰って元の椅子に座るもグリーゾさんは私を見つめるだけ

何を要求されているのか分からず固まってしまう


「…娘、お前は何故ここに居る

俺たちにも聖属性を使えると口外しないように要求してきたな

何故だ?」


質問されて目を丸くしてしまったけど前から変わらない答えを落ち着いて話した

話が終わると、しばらくグリーゾさんは静かに私を見ていた

と思ったら小さく息を吐き分かったと言った

彼なりに理解してくれようとしているのかもしれないと思うと、もう用は済んだらしく、そっぽを向く

ラハニスが小さく笑いながら仕事に戻って良いと言ってくれたのでルルーディの手伝いを始めた


「許可がおりた」


それからしばらくするとセリーニさん達が戻ってきた

アステリも一緒で曰く魔物討伐の依頼があった場所も近いらしく好都合らしい

もちろんグリーゾさんの件を優先はするけど終わったら、そっちの討伐も行かせてほしいということだった

それで良いと全員が納得したから早速、明日行こうという話になった


「すぐに行けば良いだろう

特別に乗せていってやる」


「それはありがたいが人間は色々準備があるんだ

すぐには難しい」


アステリの言葉に面倒な…とグリーゾさんは顔を顰め、なら私にもてなせと言ってきた

ラハニスも名案じゃ、と家に行ってみたいことを告げられ無理矢理外に連れ出される

後ろでフィトーさんが、こっちのことは気にしないでねと言ってくれたから街を案内した後、家でご飯を振る舞った

基本ドラゴンは雑食らしい

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