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感謝

目を覚ますと見知った天井が見えた

前もあったなと、ぼんやりとしているとクレムさんのことを思い出し勢いよく起き上がる

フィトーさんとルルーディが目を丸くしていたけど構わず彼が無事なのか訊いた


「起きて最初に訊くことがそれか…

君は本当に…」


丸くしていた目を細めてフィトーさんは困ったように溜息を吐いた

ルルーディが笑っている理由が分からなくて首を傾げるとポーションを渡される

前回みたいな状態ではないけど念の為にと言われ、ゆっくり飲み始める

するとルルーディが窓を開け魔力で蝶を形作って飛ばしていた


「あれは魔力鳥という連絡手段だよ

後で詳しく説明しよう

それでクレムの安否だったね」


私は聖属性の使い方を勉強することが優先になっていたし今まで見たことがなかったから首を傾げるとフィトーさんがそう言ってくれて頷いた


「俺が診た時はクレムの傷は綺麗に治っていたよ

骨に届いていなかったとはいえスライムで溶けていたと聞いたから充分な回帰だと思う

普通に動かせていたし立っていた」


淡々と言われた説明に安堵の息を吐くと扉が開けられアステリが入ってきた

私の様子に安心したような顔をするとクレムさんを始め今回一緒だった第一軍隊の人たちが会いたがっていると言った

もちろん身体が辛いなら後日にすると言ってくれたけど前回ほど辛くない

クレムさんにも直接会いたかったからフィトーさんに了承をとってベッドから足を下ろすと


「そのままで良い

部屋の前に待機させてるんだ」


静止をかけられベッドに座った状態のまま入ってくるみんなを見つめる

クレムさんが普通に歩けていることに安心するとアステリが防音魔法をかけた

それを確認するとカフェティさんが敬礼と言い小隊の全員が私に向かって挙手の敬礼をする

一瞬、圧倒されてしまったけど敬礼は確か目上の人にするものだと認識していたから恐る恐る間違いではないかと訊いた

すると目を細めて微笑みクレムさんが私の前に跪いた


「間違いなどではありません

今回スライムによって損傷した私が回復したのは紛れもなくミヤさんのお蔭です

感謝をいくら言葉にしても足りないくらいです

なので敬礼という形をとらせていただきました」


「それは大袈裟な気がしますけど…もう動いて大丈夫なんですか?

皮膚が引き攣るとかないですか?」


「大丈夫ですよ

フィトーさんにも診ていただきましたし全く問題ありません」


そう言いながらクレムさんは袖を捲る

最初にスライムに水をかけられたであろう跡が残っていた

やっぱり付け焼き刃の魔法じゃ完全に消せていなかったんだと微笑む彼に思わず謝った


「何故、謝られるのですか?」


「傷跡が残ってしまったから…」


「…普通に動かせるまで治してくださっただけで充分です

我々は軍に入った時点で傷だらけになるのは覚悟しております

それを今は誇りにすら思っているぐらいです」


そう言われ彼らの誇りさえも傷つけてしまって申し訳ない気持ちになり再び謝り守ってくれていてありがとうとお礼を言った


「ありがとうございます

そう思っていただけているなら嬉しいです

改めて…ミヤさん、治してくださってありがとうございました」


クレムさんが跪いたまま頭を下げるのと合わせて後ろに立っていたカフェティさん達がまた敬礼した

私は戸惑いつつ、どういたしましてとみんなの感謝を受け入れた

すると、それからこちらをと書状を手渡される

見ても良いか訊いてから中身を確認した

読み進めていって目を丸くしてクレムさん達を見ると静かに微笑んでいるだけだった

緘口令でもしたのかとアステリに視線を移す

だってこれは私のことを黙っているという契約書だ


「俺は何も言ってないぞ

まぁ…これまでの説明はしたけどな」


その言葉にカフェティさんが、その通りだと言った

アステリから聞いた上で各々で判断した結果なのだと


「ミヤさんは平穏な生活を望まれているのでしょう?

なのに今回、我々にバレると思っただろうに治療を優先してくださいました

自分の平穏が脅かされるだろうにクレムのために動いてくれた

我々はそれが嬉しかったんです」


だから全員一致で私のことを黙っていると決めたらしい

その表明で紙に書いてくれたんだとか

みんなのもう決めたからと思っているような顔が嬉しくて顔を下に向けた


「…一つだけ、お願いしても良いですか?」


「なんでしょう?」


「今まで通りに接していただけますか?

私は…ただの医務室で働いている者ですから」


仲良くなった人たちと距離ができるのは避けたい

感謝は受け取るけど敬ってほしいわけじゃない

胸に手をあて、そう言うとみんなは目を丸くした後、笑顔で了承してくれた

良かったと思いながら、みんなで笑い合った


「俺からも改めて、ありがとなミヤ」


みんなが仕事があるからと退出した後アステリが残って、そう言った

なんでもスライムの被害は警戒していても年一回くらいあるらしい

生きていても水をかけられた部分を切り落とすしかなくて軍を続けることは難しくなる


「俺らにはどうすることもできなかったから悔しかったんだ」


クレムさんは第一軍隊に入ることを小さい頃から目標にしていたらしい

アステリから見ても優秀な人材だから辞めてほしくなかった

だから今回クレムさんの手足を斬り落とさなくて良かったと言っていた

嬉しそうなアステリを見て嬉しくなった

すると傍観していたフィトーさんが


「今度はポーションでも治せるのか試してみたいね」


「…俺の部下を実験に使うなよ?」


「さすがにそんな非人道的なことはしない

スライムを生け捕りしてくれたら一番早いんだけど」


「………やってみるわ」

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