ユリエール近郊の魔石鉱山にて(ある採掘師の話)
この山では、属性付きの魔石が採掘できる。そのため、質のいい魔石を求めて採掘師たちが、この辺境の地に集まった。採掘師たちが集まると、それを目的に魔石商人や、魔石技師、加工師、多くの職業の者が定住し、やがてどの国にも介入されない、採掘師の街ができあがった。
この街の特産は、魔石を養分として育つ絹花であり、他の国や村からは絹花の街ユリエールとも呼ばれている。
今日も、ある採掘師が山に入り、質のいい魔石を求めて、仕事に精を出していた。
採掘師たちにとってありがたいことに、ユリエールでは、この鉱山で採掘師たちが魔物に襲われる事がないようにと、街主体で探索者を雇い、魔物を排除してくれている。
魔石を掘りながら、採掘師は自身がユリエールに定住する理由をしみじみと思い浮かべた。
カツンとつるはしに抵抗があり、今日は運がいいと採掘師は魔石を掘る手を早める。
魔石はなかなか全体像を見せてくれず、大物だと採掘師は額に汗を浮かべながら、内心小躍りした。
長い時間をかけ、やっと掘り出した魔石を見て、採掘師は街長に知らせなければと、冷や汗を流す。
採掘師の足元には、人生で一度も見たことの無い大きさの魔石が、キラキラと輝きを放ちながら鎮座していた。
採掘箱に恐る恐る魔石を入れた後、街長に会うために足早に鉱山を後にした採掘師。
採掘師は知らなかった。魔石を取り出した壁が、人の形をしていたことを。それが魔石ではなく…………。
採掘師は知らなかったのだ……。




