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英雄とドラゴン  作者: ヒトミ
拠点確保
13/60

森の中④

ック、ヒック。静かな森の中で、少女の泣き声が響いていた。


「世の中には、やっていい事と悪い事がある。理解したか?」


幼子に言い聞かせるように、滔々(とうとう)と続いた俺の説教で、ビリカが泣き出してしまったのである。


「う、うぅー! お、お父様にも怒られたことないのにぃぃ」


悔しげに唇をかみしめ、正座した姿勢で俺を睨みつけるビリカ。わなわなと体が小刻みに震えている。


「ああもう、今回はビリカが悪かったんだよ。だからもっと穏便な方法にしようって言ったのに」


そんなビリカの頭を撫でながら(さと)すクルム。


外見上は同じ歳頃に見えるんだがなぁ。実際はだいぶ歳が離れてでもいるのか、精神年齢に(へだ)たりが感じられるぜ。


「うるさい! クルムのバカ!! わ、私は早く強くなって、お父様に認められたかった……だけなのにいぃぃ!」


一旦は落ち着きかけていたビリカだったが、クルムに味方をして貰えなかったせいだろうか、また盛大に泣き出してしまう。


きつく言い過ぎたか? だが、ビリカのせいで俺たちが苦労をしたのは事実だ。ラルーナも危うく都市を放棄するところだったんだぞ。自身の(おこな)いで、まわりにどんな影響が出たのかは、しっかり教えておかねえと。ビリカのためにもな。




「説教は終わったかの? 終わったならば、商人を探しにゆくぞ。まだ飛竜の腹に収まってなければよいがのぅ」


ミストラルが、空を見上げて言う。


「そうだな。飛竜の(おさ)に事情を説明しねえと。だが、どうやって探すか」


早く商人を見つけねえと、本当に飛竜に食われちまうぞ。


「ラルジャンさん。それなら、僕たちが役に立てると思います」


俺が眉間に(しわ)を寄せていると、クルムがビリカを慰めながら遠慮がちに発言した。


「助かるが、あてでもあるのか?」


商人を見つける方法があるなら聞いておきたいぜ。


「力を使えば、探し出せます。その為にまずは力を補充させてください!」


「崇め奉りなさい!」


クルムが深々とお辞儀をする横で、ビリカが仁王立ちをして便乗する。


(まった)く反省してねえな……。


「ビリカ黙って」


そんなビリカにクルムもいい加減腹を立てたのか、(うな)るようにそう言い、ビリカの頭を下げさせた。


◆◆◆


賊をしかるべき場所に引き渡すのと、クルムたちの信仰力を補充するために、早く街を見つけなければならない。


「結局こうなるのかの。お主、ちとわらわを酷使し過ぎではないかや?」


ミストラルには悪いが、背中に乗せて貰うことになった。


「すまねぇ。今はこれしか方法がねえんだ。今度大きな街でも見つけたら、いい物がないか探しておくぜ」


「話半分で聞いておくでの。賊を落としても、文句を言うでないぞ?」


本気か冗談か分からねえ。


ミストラルは恨みがましく呟きながら、俺たちを乗せて空に舞い上がった。




思っていた以上に広い森だ。ミストラルの飛行速度でも、すぐに森を抜けることはできなかった。


やっと森を抜けると思った矢先、見覚えのある存在が、空中で立ち往生しているのを発見する。


「あれは、飛竜の群れじゃねぇか?」


「何かを取り囲んでいるみたいですね」


「私が洗脳した商人じゃない! この森の中に居たのね」


遠くてよく見えないが、確かに、馬車を引いている人が、飛竜に取り囲まれていた。


「つうことは、あの群れはラルーナに来た飛竜の群れってことか!」


ビリカが洗脳した商人を囲んでるんだから、そういうことだよな。


なんで襲いかかってねえんだ? 襲いかかれずにいんのか?


「良かったのう。探す手間が省けたようじゃ」


ミストラルは飛竜の群れを刺激しないよう、ゆっくり飛行して群れに近づいていく。


(おさ)には俺が事情を説明するぜ」


ビリカの行為を許してくれるといいんだが。

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