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プロローグ ~『婚約破棄は破滅の始まり』~


「クレア、貴様との婚約は破棄させてもらう!」


 この国の第二王子であるジークが放った一言は、玉座の間に集まった人々を戦慄させた。


 捨てられたのは公爵令嬢のクレア。黄金を溶かしたような金髪に、澄んだ青い瞳、白磁のような白い肌を備えた美女である。


 その美貌は王国の宝石とまで称され、才女としても名高い。これほどの女性を捨てて、なぜ庶民的な男爵令嬢を選ぶのかと、様子を見守る大臣たちは頭に疑問符を浮かべていた。


「意思は固いのね?」

「俺はアンナと結婚する。悪く思うなよ」


 自分勝手な男だ。一方的に婚約を破棄しておきながら悪ぶれる素振りもない。隣に立つ男爵令嬢のアンナとの輝かしい将来しか見ていない証拠だ。


(こんな男に惚れていたなんて、私はどうかしていたわ)


 ジークは短絡的な思考と、我儘な性格で、まるで子供が大人になったような人物だ。しかし黒曜石のように輝く黒髪と、鷹のように鋭い瞳、そしてキラキラと夢を語る姿が、クレアを虜にした。


 婚約者として尽くしてきたと、クレアは自負している。手料理をご馳走したり、手編みのセーターを贈ったりしたこともあるし、公爵令嬢としての権威を使い、彼の起こしたトラブルを解決したことまである。


 なのに裏切られた。愛していたからこそ、その愛情は裏返り、恨みへと変貌する。


(許さない! 絶対に報いを受けてもらうわ!)


 クレアは泣き寝入りするような女ではない。やられたら倍返しどころか、百倍にして報復するタイプの人間だ。


 ジークは後に思い知ることになる。クレアを敵に回す恐ろしさを。そして後悔しても、もう遅いということを。



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