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転生令息は冤罪を望まない

作者: いなほ

わたし・・・いやおれには前世の記憶がある。

前世は普通の女性だった。

ややオタクよりのボッチ気味だったが、学校を出てブラック企業とはいえ就職して自立もしていた。

大好きな本やネット小説、いわゆるサブカルに溺れていれば満足している、そんな人間だった。

あまり多くの事は思い出せないが、あまり欲はなく、社会の中でも埋没しているような人物だったように思う。

あまり執着はなかったせいで、早く寿命を終えてしまったようだ。

健康や自分の体に関心がなく健康診断の結果を放置していたせいだろう。



自分が嫌いだった。

それは覚えている。

いつも自分の居場所を間違えているような気持ち悪さを感じていた。


そして転生した世界でも、しっくりとこなかった。

異世界、皆が大好きな「なろう系中世」っぽい世界のさる下級貴族の家に生まれたが、少しずつ前世の記憶が甦ってきて15の頃には自我がゲシュタルト崩壊し18歳になってようやくそんな自分と折り合いをつけられるようになった。


今のおれはY遺伝子の影響かやや男性寄りの考え方をしているが意識は前世の女性のものかもしれない。

いや、意識が女性よりとか男性よりとか自分でそう感じて思っているだけなんだが。

思春期の頃は大変だった。

前世の記憶と、子供から大人に変化する身体。いわゆるあおはるをおれは持て余し。

荒れて荒れつくした。


「それはそれとして置いておく」という心の整理の仕方ができるようになったおかげで落ち着きを取り戻し、変化していく自分と本当に向き合えるようになってきた。

幼少より受けてきた下級貴族の子弟教育もあって、それらしい人間にはなりえたと思う。

「本当の自分」とかすごく拘った時もあったけれど、社会に適応するために被った仮面も自分の一部なのだと肯定できるようになった。


幸いと、転生してからの身体のポテンシャルは高かった。

前世苦手としていた身体の鍛錬は、面白いように言う事を聞く自身の身体の性能に自分でも自画自賛したい程だった。


そして今夜は5年間通った「学園」の卒業パーティだ。

おれは、幼馴染のサブリナを伴ってそのパーティに出席していた。


「サブリナ。本当におれのエスコートでよかったのか?」


サブリナはおれより爵位が上の伯爵家の令嬢である。さる侯爵家の嫡男と婚約していたはずなのだが…。


「いいのよ…。」


サブリナは黒髪が美しい令嬢である。前世の記憶が戻った自分にはとても目に優しい。

何しろ、この「ナーロッパ風世界」では髪や目の色や肌の色がレインボーどころか、24色もあって目に色彩の暴力を訴えてくる。


「クリオ様は私の事なんてどうせ…。今夜はエスコート出来ないと断ってきましたし」


「ふぅん?一緒になる相手(けっこんあいて)なんだから、仲良くしてた方がいいのにな」


ハニーレモン色のドレスに銀色の刺繍がキラキラと光を反射している。

今夜のサブリナはとても綺麗だ。


「そのドレス。とても似合ってる」


どこか一つは、女性の良いところを褒めるのが、この国に生を受けた貴族男性としての嗜みだ。

なのに、おれの言葉を漏れ聞いた近くの令嬢から嘆息の溜息がもれる。

え?連れの女性を褒めるのは、貴族男性としての嗜みなんだが、なんか間違った?


「まぁ、ディート。いえ、何でもないわ」


サブリナは、呆れたように何かいいかけたが、言葉を切った。



サブリナを伴った卒業記念のパーティはいわゆるプロム的なものだろうか?

紳士淑女然とした卒業生達が精いっぱい着飾って背伸びをしている。

まぁ王宮のランクの低い方の広間とはいえ、多くの生徒にとっては一生に一度来れるかどうかだからな。

5年間頑張ったお祝いだからこそ気張っているのだろう。


かくいう、おれも今日の事はとても楽しみにしていた。

下級貴族とはいえ三男のおれには王宮勤めでもなければこんな晴れやかな場所にはホイホイとは来れないだろうし、エスコートしているのは伯爵令嬢のサブリナだ。

幼馴染とはいえ、彼女はおれらのような下級貴族子弟にとっては高嶺の花。

つくづく、役得だ。ラッキーとしかいいようがない。


一部の上位貴族の子息達は、すでにこういった場所には慣れているのだろう、堂々たる姿で余裕があるようだが。



今日はおれも伯爵令嬢のサブリナをエスコートしているので恥をかかせないように精いっぱい務めるつもりだ。だが本来の彼女の婚約者のクリオ・フィオーレ侯爵子息はどうしているのだろうか?

あ、いたいた。あの栗色のくせ毛は彼のものだな。


おれが彼の姿を見つけると同時に彼の方もおれ達を認めたようだった。

少しばかりバツの悪そうな表情だ。

それもそうだ。彼の現状を見た者は誰もがそう口をそろえて言うだろう。


おい、それはないだろう?と。


御多分に漏れず、おれもクリオに対し心の中で突っ込みを入れた。


クリオは大勢の高位貴族子息にまざってある少女を取り巻いていた。

まぁクリオ自身が高位貴族子息なので、その集団にまざっていてもおかしくはないのだが。

婚約者以外の他の女性をエスコートしている風でもないのに、なんでそこにまざっているのか。

その群れの中に第二王子と第三王子がまじっているのもおかしい。

それにあれは騎士団の御子息と宰相子息、魔法師団長の御子息に隣国の王子までいるじゃないか。


彼らには幼少の頃より婚約者がいるはずだ。

さりげなく会場を見回すと彼らの婚約者であるご令嬢が何人か、苦々しい表情で彼らを見ているのにも気が付いた。


何とも頭痛を覚える構図だ。


サブリナがぎゅっと手に力をこめた。

いたいいたい。そこはおれの腕です。つねってるから、お願いやめて。鍛えているといっても皮膚をつねられると普通に痛いです。


「サブリナ。今日はクリオの事は無視しようぜ」


おれにしてもサブリナにしてもクリオには一言文句を言ってやりたいが、こういった目立つ場所で言い合いをするべきではない。

悪目立ちしてしまう事態は避けなければ。


おれは怒りで小刻みに震えるサブリナをさりげなくフードコーナーに誘導する。

そこにはぽっちゃり令嬢とその友人達が何人かと前髪の長いひょろりとした魔術科の生徒が陣取り、煌びやかに見える集団を横目にグルメ談義に花を咲かせていた。


わかります。キラキラしたリア充団体にまざるのには勇気がいるよね。


「ほらサブリナ。王宮で出される御馳走なんか、今度はいつ食べられるかわからないんだから堪能しないと」


おれはいそいそと給仕から飲み物と取り分けてもらったケーキを座らせたサブリナの前に並べる。


「ほら、あーん」


視線で人を殺せそうになっているサブリナに、落ち着かせるためにまずは糖分だ。

今日は朝から肌の手入れだ着付けだとあまり食事をとっていないはずだ。


サブリナは視線をクリオ達の集団からはなさないまま、素直に口だけは開ける。


「!!!!」


「うまいだろ?今日は楽しまなくちゃ。うまいものをたくさん食べて。おしゃべりをしていっぱい笑って踊って、最高の思い出にしようぜ」


サブリナの人を殺せそうな鋭い視線は甘いスイーツによってやや和らぎ、気持ちも少し落ち着いたのだろう、ほうと溜息をついた。


「ディートは何故、そんななりなのに、女友達みたいに気が利くの?」


前世が女だったからだとおれは自分の事を知っているが、サブリナを混乱させるわけにはいかない。


「大事な幼馴染だからね。今夜のようなお祝いの日は笑っていてほしい」



おれの見た目は、高スペックな自分の身体に浮かれてちょっとばかり鍛えすぎていささか成長しすぎだ。

とはいえ筋肉ゴリゴリではなく、前世の好みの範疇に己を律している。

だって前世では運動音痴だったから、楽しかったのだもの、何でもできる自分の身体が!


それに鍛えている間は忘れていられたし、自身の前世とか、ジェンダー的な悩みだとか。


「そうね。今日はお祝いだもの。気持ちを入れ替えるわ。あんな馬鹿は放っておいて」


サブリナは、ほぅと溜息をつくとワインを煽った。


うん。そうだね。ノンデワスレヨウネ。


サブリナはいささか自棄になっているようだ。

おれはそっとサブリナの据わった目から視線を外した。


「ん。このテリーヌ、素晴らしいですわ。そう思いません事?」


サブリナはやや腰が引け気味のぽっちゃり令嬢達に声をかけた。

それをきっかけに会話が生まれ、楽しそうな雰囲気に人が集まり始めた。


そこへ空気を読まずに割り込んできた女性がいた。



「サブリナ様、ごきげんよう。ディート様とは幼馴染だっていうの本当だったんですね」


合流したサブリナの友人や数少ないおれの友人達とも談笑していると、何を思ったかクリオと高位貴族子息達が取り巻いていた少女がおれたちに声をかけてきた。


チッ


サブリナから舌打ちが聞こえた。

普段感情を出さないサブリナにしては珍しいが、少しばかり感情が表に出すぎじゃないだろうか。

露骨すぎるだろうよ。


それに、この子もこの子だよ。はぁ~勘弁してくれないかな。


サブリナと友人達はすでに臨戦態勢だ。いわば完全アウェイなのに、この空気読めないの?この子。


「ご紹介いただけませんか?わたしディート様のファンなんです」


ちょっと何なのこの子。高位貴族子息や王族を侍らすような、こんな危険人物を野放しにしないでほしいね。


どうしたんだ?さっきまでいた取り巻き達は?


あ、いたいた。来賓にとっつかまってる。こっちを睨んでるけど、この子の方から近づいてきたんだからね?


しかし、さっきのセリフはなんかねー。棘なかった?


「本当に」って疑ってたって事でしょ?サブリナがおれと幼馴染だって事信じていなかったって事でしょ?


「うふふ。紹介してくれなさそうなので、わたしから自己紹介しちゃおうかな」


知ってるさ。君のこと。平民からさる男爵家の庶子だって引き取られた光魔法を使える子でしょ?

有名だよ?婚約者のいるいないに限らず、高位のハイスペック男ばかりにコナかけてるってみんな知ってるよ?


「ディート・フレミングです。卒業おめでとうございます」


おれの方は空気を読んで一応自己紹介をしておく。

急にまわれ右をして変な生き物(その少女)を無視してその場を離れるのもおかしいし。


「リリーナ・バレリーです。同級生だし、ディートって呼んでいいかな?」


ちっか!!パーソナルスペースせっま!そしてあざといっ!!

そしていきなりの名前呼び、いきなり距離が近すぎだよ。気持ちわるっ。


小首を傾げて庇護欲をそそぐような笑顔を浮かべ、さりげなくボディタッチしてくるリリーナ嬢。

わかっててやってるあたり罪深い。


「同級生でしたね」


おれは内心の動揺を悟られないように言った。


そうそう今日は卒業を祝うパーティだ。つまりおれが言いたいのは同級生だったという過去形なのだ。


「ディート様はいつも鍛錬に忙しそうでお声かけられなかったから、こうしてお話しできてとてもうれしいです」


まぁ、思い出した過去を振り払うべく、混乱する自分を鍛錬でごまかしていたからね。

思うように動く身体も面白くてついついそちら方面に熱中しすぎてしまったけど。


「とてもお強いって聞いて凄いなって思っていたんです」


胸押しつけてんなよ。おれの視点から胸元を覗き込めるように計算された位置取りすんなよ。


「そうかな?騎士団長子息の、ほらライナー君。彼も強いだろ?」


苦笑いを浮かべつつ、さりなく距離をとるとその分距離を縮めてくる。


「腕、触ってみてもいいですか?わっ!!すごーいたくましい!」


いやいやだから許可してないよね?勝手に触らないでくれない?


「あの、お願いがあるんです。わたし、誰かに狙われているみたいで…、ディート様はお強いですよね?守ってほしいな…なんて。えへへ」


ちょっと待って、君とおれ初対面なのよ?なんでそんなにぐいぐい来るの?

距離感おかしいから。絶対変だから!

それに狙われているんならこんなとこいないで家にこもってたら?

おれは君とは初対面だけど、君のことどうにかしてやりたいって、恨みに思ってそうな令嬢とその貴族家とか、心あたりがすぐ思い浮かべられるよ。

身から出た錆っていうんじゃないかな。

それをおれにどうかしてって頼める心臓の方がどうかしてるよ。


「リリーナ様。男性の身体にべたべたとするのはどうかと思いますけど?」

「淑女としてはしたないと思われますわ」


目が据わってブルブルと小刻みに震えるサブリナをかばいつつも、サブリナの友人達がさりげなくおれとリリーナの間を離してくれた。


「そんなっ。わたし、武闘大会で優勝したディート様とちょっとお話ししたかっただけなのに」


いやいや、君、初対面のおれを君を巡っての修羅場に巻き込もうとしてたよね?

どうして武闘大会優勝者→強い→当然自分の味方って思考になったのか知らないが、なんで無関係なおれが君の不始末を引き受けるって思った?


うるうると瞳に涙をたたえつつ大げさにリリーナ嬢は被害者ぶっている。

ぐいぐい来る態度から急に変わったなと思ったら、リリーナ嬢の取り巻きの高位貴族子息達がいつの間にかリリーナをかばうような位置取りをしていた。


「まったく。親の爵位を盾にリリーナを脅すなんて」

「性根が腐ってみっともないな」


いやいやいや?

おかしいよ君たち。彼女達はしごくまっとうな苦言をしただけだよ?


高位貴族の子息達に居丈高に詰られて、サブリナの友人達はやや引き気味だ。

言い返したくても自分達の家よりも高位の貴族に物を言えず、ましては女性は男性に逆らうだなんてはしたないなんてされる文化だ。中世ってそいういう男尊女卑な文化ってあるあるだよね。


それもあって憚って黙るより他がないのだ。


それにさ?親の爵位の威光を笠に着ているのどっち?


おれは何かひとこと言ってやろうかと口を開きかけた。今のおれは男子なのだ。

男の子には立ち向かわなくてはいけない時もある。


でもそこに鶴の一声がかかった。


「私、先ほどから見ておりましたが、彼女達はまったく悪くありませんわ。むしろその子がディート様に断りもなく触れていて、はしたないと感じましたわ」


金色の縦ロールをひっさげて、エリザベート・ラトラ侯爵令嬢がご友人達と共に現れ、サブリナの友人達をかばってくれたのだ。


エリザベート侯爵令嬢は第二王子の婚約者である。まぁその第二王子はリリーナ嬢の取り巻きその1に成り下がっているが。


よく言ってくれたぞ、エリザベート侯爵令嬢様!

おれたちが彼女の言に拍手喝采、心の中で留飲を下げていると、リリーナの取り巻き集団からキラキラしい人物が進み出てきた。


「ベス。がっかりしたよ。君がそんな人間だったなんて」


おや、取り巻きその1が何か言い始めたよ。寝言は寝てる時に言って欲しいな。


「一人の女の子を寄ってたかって虐めるだなんて、なんて心が貧しいんだ」


いやさ?殿下。あなたの目は節穴ですか?


かよわき女性達に寄ってたかって居丈高に詰っていたのはどちら様でしたっけね?

クリオも殿下の後ろで、隠れながらサブリナに威圧を与えてたよね?


「殿下?私はただ見たままの事を…」


エリザベート様は傷ついたようだった。八の字に下がった眉がこんな時ながら何ともかわいらしい。


「だまれ、だまれ!お前はいつから王子である俺より偉くなったつもりなんだ!」

「王族に口答えをするだなんて、なんて浅ましいんだ」


第三王子まで何かとち狂った事を言い始めた。誰かこの場をなんとかしてぇ…。


いつの間にか周囲はしんとして、この場を注目しているみたいだった。

目の端に先客であるぽっちゃり女子が居ず様がなくその丸い身体を縮こませ、ひたすら空気にでもなりたいようにして隠れようとしているのが見える。

申し訳ないが、君の、その体面積的にそれは無理だと思う。本当ごめんなさい。


するともう一人、リリーナの取り巻きグループからガタイのいい男が進み出て、おれたちに威圧を放ってきた。


「君も趣味が悪いな。こんな程度の悪い令嬢達をはべらして」


おやおや武闘大会でおれに負けた騎士団長子弟のライナー君、それはおれに対する意趣返しのつもりですか?

売られた喧嘩は買ってやる。だって男の子だもの。


「程度の悪いって、まだ爵位のない君がよそ様のご貴族令嬢を指して言える事なのかな?

おれは、そこにいるクリオ侯爵子息が自分の婚約者をエスコートするという婚約者としての当然の義務を遂行しなかったから、代わりにこんな役得を受けているんです。クリオ様がエスコートの義務を放棄したせいで困った彼女の御父上から許可を得て彼女と今日は登城しています。あれ?見ればクリオ様は誰もエスコートしていないようなんですが?一人で参加されているんですか?いや、一人が悪いわけじゃあないですけど」


そうして周囲を見回すと芝居かかった態度でさも驚いたように言ってやった。


「え?え?まさか全員でリリーナ嬢をエスコートしてるんですか?

?ええ???それって変じゃないですか?みなさん本来の婚約者をほっといて?一人の女生徒を囲ってるんですか?…気持ちわるっ」


しまった本音が出てしまった。さっき喉を潤すために少量飲んだアルコールで口がすべってしまったらしい。


「きさま!不敬だぞ!」


ライナーが真っ赤な顔をして剣を抜いた。


「わっあぶない!このパーティって武器持ち込みなしが規則じゃなかったですか?違反ですよ?」


魔法使いの小さな杖もすべて入り口で預かっていたはずだ。どうしてそんなものを持ち込めたのか。


「ふふん。リリーナ嬢を害そうとしている者がいるという情報があったのだ」


「ふーん。そんな危険人物がこのパーティ会場にいると?そういうのは警護担当の王宮警備隊のお仕事じゃありませんか?一卒業生に剣をもたせてそういうの護衛替わりとか本当訳わかんないですけど?」


「何をしらじらしいことを!」


「おれも彼女達も丸腰ですよ?丸腰の相手にそんな無粋なもの振りかざして恥ずかしくないのかな?それが騎士というものだなんて君のお父上は言っていたのかな?」


おれも彼の父と手合わせしたことがある。

騎士団へ入隊するように誘われているぐらいは、懇意にしているのだが。


「父上を愚弄するのか!!!」


「いやいや、あの立派な騎士団長様が、丸腰の相手に剣で挑めと息子さんに薫陶してるとか想像できないんですけど?」


まぁちょっとばかり煽りすぎたのは認める。

例えそうだとしても短気すぎるでしょ?ライナー君。

今にも剣で切りかかってきそうだ。

それに感心しないよ?暴力で自分の意見を通そうだなんて、ガキ大将がまんま大人になったみたいだよな。



「やめてっ!!私のために争わないでっ!」


そこに何を勘違いしたのか、リリーナ嬢が割って入ってきた。


むしろ君のせいで争いになってるんですがね?責任とってあのわんぱく君を引き取っていってくれませんかね?

そしてもうおれたちに近づかないでほしいんですが?



「リリーナ。危ないから下がっていてほしい」

「リリーナは優しいな」


なんか寝ぼけた事言ってる連中がいるんですけど?

誰かこのカオスなんとかしてぇ。


「…わかりましたわ」


なんかうつむいてブルブル震えてると思ったエリザベート嬢が毅然と宣言した。


「おじい様に言って、この婚約はなしにしてもらいますわっ。どうやら私は相応しくないようですし」


「…え。ベス?」


第二王子が少し慌てたように言う。



ラトラ侯爵令嬢の祖父は現王の叔父にあたる公爵である。

若くして即位した現王は成人するまで、いや成人してからつい最近までも彼に助けられて執務を執り行っていたので彼には頭が上がらないのだ。

国内貴族令嬢である側室の子である第二王子の後ろ盾としてエリザベートと第二王子を婚約させたのは彼の一声があったからだ。

ちなみに第一王子は強国からの押し付け王女の子であり、この国を牛耳りたいさる強国の思惑が強すぎて王太子レースからは外されているという噂だ。

出来がいいという評判なのですごく残念だ。


だから勘違いしちゃったのかな?とおれは第二、第三王子を見る。


「もう知りませんわ」


己の婚約者である第二王子の暴走と馬鹿なふるまいに呆れたのであろう、侯爵令嬢は他の高位貴族令嬢達と共に身を翻して去っていく。

まぁ、引く手数多だものね。彼女。

頭脳明晰、加えてあの美貌。心根も優しく公平で親切。おれらの心の清涼剤。


「あっ、ちょっと待ってベス」


急におろおろし始めた第二王子。

そうだよね。自らの地位を盤石にしてくれるスポンサー(うしろ盾)の機嫌をそこねちゃうのはダメだよね?


「何を日和ってるのです!兄上!彼女はか弱いリリーナを虐めている令嬢たちに味方したんですよ?そしてリリーナを害そうとしている一番の容疑者じゃないですか?」


おれはたまらず、はぁ?と声をあげた。

身分の高い令嬢を大した裏付けなく容疑者扱いとは、身分の高い方々のご子息とはいえども、間違いなくいかれてる。

そしてそのうちの一人は卒業パーティという平和な場所で剣を振り回そうとしている。

本当にね。正気とは思えない。

おれの口から呆れを帯びた口調出ても誰も責められないだろう。



「いったいどこの誰がそんな事を言ったんです?」


子息達の視線がリリーナに集まった。


「あ、察し」


おれは全てを悟った。





「あー。ちょっと冷静になってくれ」


おれは頭痛を耐えて言った。

まぁまだギリ学園行事内という事でこのパーティが終わるまでは武闘大会優勝者≪学園上位者≫としての物言いも許されるだろう。


「失礼ですね。私はずっと冷静でしたが」


宰相の息子が眼鏡をくいっと上にあげて反論してきた。


イラッ。


落ち着けおれ。冷静になってんならそもそもこんな事態になってるわきゃーねぇよと叫びたいがぐっと我慢する。


「冷静ならば、おれの質問に答えてもいいよな?初めて会った女性になれなれしくいきなり名前呼びをされたらどう思う?」


「変わった女性だなと思います」

「ちょっと何かあるのかと思います」

「慣れ慣れしいなと思います。まぁ相手との関係次第という面もありますが」

「相手次第では馬鹿にされたと思うかも…」

「…不快ですね。」


こいつら素直だな。

ちょっと感心してしまう。


「親しくない女性に意味深に摺り寄られ、身体も摺り寄せられたら?」


「うらやま…ごほん。役得だなーと」

「いや、僕は紳士だからそんな事思わないぞ」

「普通の女性はそんな事しないだろう。第一破廉恥だ」

「ハニートラップかと疑いますね。家庭教師が気をつけるように言ってました」

「そんな女まともなはずがないだろ」


「その女が甘えた声で、わざと胸を押しつけてきたら?」


「なんだと!そんなふしだらな!」

「…自慢ですか?」

「武闘大会で優勝したらモテちゃった自慢ですか?どうせ商売女でしょうよ?」

「僕、おばちゃん達からそういう目にあった事あるよ…災難だったね」

「お前も自慢かよ」


おれは溜息をついて彼らを見た。


「さっきおれはそこの彼女に今言ったコンボを決められたんだが」

「「「え??」」」



「リリーナ?」

「リリーナが?…いやきっとそれには訳があるんだ」

「たしかに、リリーナは人との距離が近いなって思ったことあるけど。たまたまだよ」

「そういう気さくで無邪気なところがあるんだよ。リリーナは」

「どんなリリーナも好きだから許せる」


リリーナはおれの言葉に少し驚いたようだったが、涙目でおれを見てきた。


「そんな、そんな風に思っただなんて。ごめんなさい。わたし、わざとじゃないの。ただ憧れのディート様に会えたのがうれしくって。つい」


しゅんとした態度は、本当にわざとじゃなかったと思わせるものだった。

でもおれの目はごまかせない。


「おれと君とは初めて会った。そんなおれに君はディートって呼んでいいか聞いたよな?

おれが許可しないうちにおれに触ってたくましいとか言ったよな?」


「…痴女…」


ぽっちゃり令嬢が思わず、という風にこぼした声はしーんとした会場に響いた。


「えっ。そんなひどいっ」


リリーナはショックを受けたようでその場に蹲ってしまった。


「いやいや。リリーナがそんな事するわけないだろ」

「そうだぞ。手を握っただけで恥ずかしがる娘なんだ」

「俺がディートに負けた時には手を握って励ましてくれたんだぞ。その時に俺の腕を抱え込んだんでやわらかな胸に手があたってしまったが、偶然の事故だ」

「え?」

「ええ?」

「えええ?」


はいギルティ。


「そもそも皆さん。それぞれに婚約者がいますよね?その婚約者をこういったパーティにエスコートしないのはどう思われていると思いますか?」


「…彼女には悪いと思ってる。卒業したらちゃんとするつもりだった。最後の自由だと思ってる」

「僕が決めた縁組じゃないし~。親の言いなりだなんてまっぴらごめんだよ」

「相性があまりね。貴族同志の婚姻なんてそういうこともあるだろ?」

「…言いたくない」


「…どう思われていると思いますか?」

おれは少しだけ圧をこめて繰り返す。彼らの言葉は自己弁護ばかりだ。


「…たしかに不実だと誹りを受けるものだとは思っているが…でもっ」

「…親が知ったらぶん殴られる…いやだからって親の言いなりじゃないぞ」

「学園最後の思い出作りぐらい好きにしたって…」

「……。それについてはどんな誹りも受けるつもりだ」


第二王子は答えずに「ベス…」とだけ繰り返している。

近すぎて当たり前になっちゃってる事ってあるよね?それ今思い知った?



「親ごさんの話が出たけど。知らないと思う?君達のやらかした事を。

婚約者さんの親だって自分の娘さんをないがしろにされたって立場がないし怒っているよね?」


「そんな、親に言いつけるだなんて、俺の婚約者になりたくて無理やりなったくせに!」

「この事は黙っててって手紙書いたから…きっと黙っていてくれるハズ」

「!!!!(冷や汗)」

「…ベス。もう僕の事、許してくれないのか?」

「妻たるもの夫の言う事は全て肯定するものだっておばあちゃんが…」


「…いつの時代だよ。いやここは中世だった!つっか、まだ結婚してないよね?つまり君は夫でもないし婚約者は妻でもない(ベスはもう君のこと見限ったと思うけど?)」


どいつもこいつも自分に都合のいい事しか考えていない。こんなのが将来、この国を動かしていくメインになるのかと思うとつくづく呆れるし軽く絶望もする。


「こんな事、こんな目出度い席で言いたくないけど、君たち、他の出席者からどんな風に見られているか客観的に考えてみたことある?」


おそらく、リリーナの虚言を信じるあまりに、婚約者の気持ちを慮ることなくこんな事をしでかしたのだろう。

おれも男の子だからわかる、頼られると、答えてあげなくちゃいけないんだろうか?って思ってしまう事があるよね?それが見た目かわいい女の子なら得に。


リリーナの瞳はいつも泣きそうに潤んでいるし、その身体つきは小柄で華奢だ。

ふわふわとした金色の髪は緩く内巻きで、うん綺麗にセットされているな。

まぁでもこの程度、作ろうと思えば作れるんだけど。


こうして見ると結構自己主張激しいな。全身で「わたしは守ってもらいたい幼気な女の子なんですー」

って訴えているかんじ。

前世、没個性になるように擬態が得意だった自分にはよくわかる。

かわいいは作れる。没個性も簡単に作れる。


人間、形から入るってのもあるけど、こうも「どこか自信のない男子から見たら『理想の守ってあげたくなるような女の子』を体現されるとそれに無理やり理想を当てはめてみたくなる事はあるだろう。

けど、それで周囲の事を曲解したり偏った見方をしたりとかはダメだよな。


「とりあえず。ここはそういう場じゃないんだ。剣は警備の人に預けなよ」


「いや、でも」


「ぐたぐた言わない。人を害そうとする人間には剣がなくたってその気になればいろいろ方法はあるんだよ?」


あまりにもぐたぐた言うもんだからおれは、そっと彼の腕を剣ごと押さえ込み、耳元で言ってやった。


壁走りも余裕でかますおれの身体能力はこういう時こそ活きるってもんだ。


「それにこうやって奪われたりしたら、剣を持ち込んだ事が裏目に出るんじゃないか?」


「くそっ!俺の剣を返せっ!」


「ダメだよ。危ないよ、ライナー君。こうやってお酒も出てる席でさぁ。万が一があったらどうするの?」


「やめて!ディート!彼の剣を返して!っきゃっ!!」


何故かリリーナ嬢が割って入ってくる。そしてドレスの裾をふんで見事にこけた。


「やめて!誰なの!!?」


ああ、後ろから押されたって自演ですか。

こけたのが恥ずかしいのはわかるけど、いけないよ。誰かを悪者にしようとしちゃ。


「酔ってるの?飲みすぎはダメだよ。誰も押してないって、今自分で転んだでしょ?」


おれはぽっちゃり令嬢に視線で同意を求める。


「あっはい。リリーナさんには誰も触れていませんでした」


彼女の友人達や魔術科の生徒も同意してくれた。


「記念にしようと思って記録水晶で撮影もしてましたから。見ます?見たらわかると思いますが」


さっきフードコーナーで仲良くなった時に、記録水晶を渡して撮影をお願いしてたんだよね。

とはいえ、おれは優しいから逃げ道は用意してあげる。


「せっかくの卒業パーティなんだ。争いごとはやめて楽しまないと」


今頃になってもめごとに気付いてやってきた警備隊の人が来たので、

「これ、没収漏れだよ?彼、うっかり持って入っちゃったみたい」と預ける。


そしてリリーナをダンスに引っ張り出す。


最初は戸惑っていたリリーナだが、おれがにっこりと笑顔の圧力で踊り始めるとステップを踏み始めた。


ほらぁ、転んだけど何ともないじゃん。そういう転び方じゃなかったものね。



曲調が変わったところで彼女の手を第二王子の手に渡す。


「中央でかわりばんこに踊ってれば、襲われにくいんじゃないかなぁ?」


と囁きつきで。


そして彼女を取り巻いていた男子達にも同じ事を提案してみた。


すぐにワクテカした取り巻き立ちにその案は了承され、リリーナにはダンスの順番待ちの列ができる。


「間違っても、『ちょっと休みたい』とか言われても人気のないところに休憩しに行かないように」


と念を押してやった。


「次は僕と踊ってくれませんか?」


「えっ?え?ちょっえ?」


これでもうリリーナは侍らした男性と最低一回ずつは踊らないと解放されない。

その間は悪だくみできないね。


「さておれらは、食べたし、飲んだし、そろそろ2次会と洒落ようか」


「エリザベート様もお誘いしましょう」


見れば来賓の人たちも主要な招待客も学院の先生達もとっくに下がっている。

残っているのは生徒ばかりなり。


「混み出す前に移動しようぜ」


そうなのだ。サブリナの伯爵家で2次会をあらかじめ計画していたのだ。

まぁこっちの卒業パーティではあまり愉快な目にあいそうもなかったからさっさと帰る方向で最初から考えていたんだが、やっぱり成功だったようだ。

声をかけたらぽっちゃり令嬢もひょろひょろ魔術科の令息もついてきた。


いやあ、まぁリア充組はあっちでお楽しみくださればいいよね?





「あれ?」


ダンスを何人かと続けて踊って疲れてちょっと座っていたら、リリーナは一人になっていた。

まぁ普段から女子には目もくれなかったので待っていてくれるような女友達はいないから当然である。



そして高位貴族の令息達も…。


「ぼっちゃま、お迎えに上がりました」

「そろそろお戻りくださいとのことでした」


いいとこの「お坊ちゃん」達には小うるさい侍従や使用人がついている。


親も「卒業パーティ」だからって羽を伸ばされたくないので、そこはきっちりと管理する。


「平民街行きの最終馬車が出るぞ。残っているものはいないか?」


「え?え?」


今日は誰かとハッピーエンドでお泊りのはずだったリリーナは迎えの馬車を断っていた。

仕方なく平民街行きの馬車に乗ろうとするが。


「お嬢様迎えに上がりました」


そうそう、おれは伯爵家からリリーナの男爵家へ使いを出していたのだ。


「酔ってフラフラしていて危ないので迎えに行ってあげてください」


と。


そうして俺が魔術科の元生徒に依頼して記録していた記録水晶でもって取り巻きーずの呆れた行動が親達にばれて彼らは親達から相当しぼられ、心を入れ替えたものも、反抗し家を出ていったものもいて

ちょっとした騒ぎになったが、すぐに次の代の中から頭角を現すものが出てきて何も問題にならなかった。


おれはサブリナの家からの好意で他国へ遊学させてもらい、帰国後はしばらくは伯爵家で働いて小金を貯めたあとその金を元手に商売に手を出した。

運よくそこそこ儲けたので僻地に土地を買ってそこを領地として拝命した。

いわゆる騎士爵というやつだ。


底辺貴族の三男としてはそこそこの出世といえよう。

どっかの家に婿にとかは考えもしなかった。

だってジェンダーがどっちつかずだもの。やや男性よりなのは間違いないけどさ。


リリーナは学園で玉の輿計画が失敗したとの判断で平民に逆戻りだそう。

まぁ、そっちの生活の方が合ってそうだから気が楽だろう。


第二、三王子達は王位争いから外れたらしい。

今のトレンドはダークホース第五王子らしい。

是非兄王子と同じ轍は踏まないようにして欲しい。


第一王子は公爵家の養子に納まったようだ。自ら王位継承権を放棄されたらしい。

頭のいい方は身の処し方もスマートだね。

実はエリザベート様とは幼いころからお互いに気になる相手だったらしく、第二王子の卒業パーティでのやらかしもあって浮いた伴侶の座をゲットしていた。

第五王子をバックアップするという宣言もしたそうだ。



サブリナは結局クリオと一緒になったが、尻にしいている。

家督を引き継ぎそこねたクリオを婿で引き取ってやったという事情も関係しているだろう。

伯爵家がもうひとつ持っている子爵の爵位をサブリナが継いだので頭が上がらないのだと思う。

でも結構うれしそうだったので案外そんな性癖がもともとあったのかもしれない。



宰相の息子、魔法師団長の子息は未だ半人前扱いで父親にしごかれているようだ。よきよき。

そしてライナーは…。


「…」


冒険者になっていた!


「父と言い合いになり、家を飛び出して…ふ、笑いたければ笑えよ」


「謝って、家に帰ったら?」


「俺の居場所なんかもう…」



おれの領地は僻地にある。僻地には未開拓地も多く、魔物も多い。

それを冒険者として討伐しに来たのだが、大けがをしてウチの経営する治療院に入院していた。


「弟が家を継いで…今さら俺が帰っても迷惑なだけだ」


だからと言ってお金もないのにウチの治療院に長期入院されても困るんだけどねー。


「お金を貯めて、リリーナを迎えにいくまでは王都に足を踏み入れないと覚悟したんだ」


かわいそうに、リリーナが平民の幼馴染とできちゃった婚したの、知らないんだな…。


「それにしても、ここには…女の人が多いんだな」


「まぁおれの領内では、女性にも職業選択の自由があるからな」


前世の価値観をおれは領法としてまとめていた。


女性にも能力によって仕事が選べ、その仕事につくことができる。


だから俺の領には隣の領から寡婦となって生活できなくなった女性が流れついたりして、わけありの女性が多い。

案外、よその領では家庭をもてない冒険者とこっちでくっついたりして、この領に冒険者を定住させる力になってくれている。


そうやって魔物の脅威が減ると人口も増え、耕作地も増え領の発展に一役買ってくれているのだ。


「昔のよしみで治療費は待ってやるから、その分働いて返してくれよ」


彼のように大けがをするのはよそから流れてきた冒険者ばかりだ。

ここの領内では領兵と冒険者が協力して魔物の駆除を行っており、冒険者の待遇、福利厚生にもおれは気を配っている。


「ハリエッタ、あとはよろしく頼む」


ぽっちゃり令嬢からふっくら令嬢となった元の同級生に彼の治療を頼み、俺は領主としての仕事に戻った。






さらに、数年後。


おれの元には冷遇されてた貴族子女だの没落家の令嬢だの、奴隷狩りから逃げてきた女性だのが集まってくるようになった。

おれが何かしようとするとおれに心酔している彼女達がおれの世話を勝手にやく。

彼女達曰く自分達の境遇から救ってくれたお礼だそうだ。

モテているようだがモテていない。

あくまで感謝ゆえの行動なのでそこに恋愛の挟まる余地はない。

彼女達とは友人関係なのだから。



ライナー君、ふくよか令嬢のハリエッタとくっついた。

彼女の献身的な介護に母性を見出だしたらしい。

二人で治療院をもりたてていくようになってくれた。ありがたき。







王国歴384年 王家首席筆耕管著


王国東の端に、ディート・フレミングという領主あり。

彼は生涯にわたって大変モテたといわれる。

常に美姫や美女が彼を取り巻き、彼を奪い合ったという。

彼を慕って王都から多くの人材がフレミング領を目指し、かの地に根を下ろし、その中に当時の王族もいたと言われている。

内政に熱心な領主でフレミング領を騎士爵から伯爵領にまで栄えさせ、王族の降嫁により侯爵位を賜った。





「いや、モテてねーし!」


















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めちゃくちゃ面白かった!
[一言]  凄いな。下手なざまぁより余程難易度高いぞこれ。
[一言] ハッピーエンドで良かった。 剣を前にして冷静になれる主人公すごい。 泰然自若の精神を持ちたい。 結婚した姫さまとどんな夫婦漫才を繰り広げたか気になる。
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