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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第3章 縁の国・平定編(中編)

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第93話 堅牢な砦

 乾物屋の長いテーブルには白い布がかけられており、その上に様々な魚の干物が並べられている。その中でもあやめが目を引かれたのは、やはり、今、店の大将が七輪で焼いている鯵の干物であった。


「おじさん、それおいしい?」

「ああ、おいしいよ。ちょっと食べてみるかい?」


 ちょうど焼けた鯵の干物を適当な大きさにちぎると、ハチマキの大将はあやめと守綱に、香ばしくうまそうなそれを手渡し、試してみるように勧めた。かじってよく味わってみると、口の中に芳醇でしっかりとした旨味が広がり、あまりの美味しさに2人とも目を丸くしている。


「これは美味いでござるなあ! 大将、この干物を6枚売ってもらいたい。いくらでござるか?」

「30カンだよ。いいかい?」


 これは買わねばと思ったのだろう。守綱は10カン銅貨を財布から3枚出し、鯵にしてはなかなか立派な大きさの干物を、袋に入れてもらい受け取った。守綱は所帯持ちである。妻子に食べさせてやりたいと思い、6枚という買い物になったのだろう。


 あやめも試食した鯵の干物をいたく気に入り、3枚購入した。連理の都に帰った後、自分でも食べるつもりではあるが、


(これは幸村様の好物、喜んで下さるはず)


 と、身分違いの想い人への、土産物としての意味もあるようだ。




 港の繁華街沿いに結の町をゆるりと観光していた竜次たち一行は、お日様の傾きを見て、昼を大分回っていたことに気づき、町の砦へそろそろ移動することにした。


 結の町の砦は東の防壁を利用して造られており、役所と防衛の機能を兼ね備えている。城とまでは言えないが、石造りの堅牢で高さがある建物で、奥行きもかなりあり広い。もし結ケ原で戦いが終わらず、町内にオーガたちが入ってきていたならば、ここに町民を避難させ、籠城戦を強いられたかもしれない。それは最悪のケースに近く、避けられたのが幸いだったと言える。


「咲夜様、皆さん、よくいらっしゃった。ちょうど何もかも調べがついたところでしてな。良い時に来られた」


 大戦(おおいくさ)から少し日にちが経ち、与一も震天弓の矢を放った疲れがすっかり取れたようで、顔の血色が良い。相変わらずの温厚篤実な細い目を見せ、咲夜たちを心良く砦に迎え入れた。縁の国第2の都市の統治者である与一には、色々と心労も多いと思われるが、今は一仕事すっかり片付いたという、非常にすっきりした安堵感がその表情から窺える。金熊童子が率いて来た、オーガの大軍に関する調査が首尾良く済んだのだろう。

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