表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第3章 縁の国・平定編(中編)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/321

第84話 星になった者たちのために

 一晩、将兵を結の町で休ませた後、昌幸と幸村は前もっての宣言通り、500の兵を自軍の本隊から分け、結の町守備兵として追加配備し、連理の都へ軍を率い、帰って行った。竜次や咲夜たちも、将として町内の宿屋に泊まり、一日よく休んだわけだが、その時に出された晩餉は大変豪勢なものであった。


「すげえ豪華な刺し身だなあ! 鮪、鰤、鯛、鮃、蛸に海老か~、食いごたえがあるぜ!」

「はっはっはっ! 竜次様とおっしゃいましたか、あなたは結の町の大恩人です。御館様が、あなた方を率いて来るのが間に合っていなかったなら、どの道オーガに私も殺されていたでしょう。そうなれば、このようなご馳走をお出しすることなどできなかった。遠慮なさらず平らげて下さい。心ばかりのお礼です」


 宿屋の主人は、何も惜しくないという綺麗サッパリとした顔で、竜次たちに大変豪華な舟盛りの刺し身を勧めている。舟盛りの脇には、良酒が既に用意してあり、


「幾らでも飲んで食べて下さい。その方が、この町を守って星になった皆が浮かばれます」


 と、一つも偽りがない目と心で、結の町を守りきった将たちに付け加えた。このように勧められては、命を振り絞って町を守った者たちに対し、存分に飲み食いして楽しまなければ失礼になる。それに、竜次、咲夜、守綱、あやめ、仙は、激しい戦働きで、それぞれかなりの空腹を感じていた。


「それでは遠慮なく頂きましょう。皆さん、縁の国と結の町のため、よく戦ってくれました。乾杯!」

『乾杯!』


 皆の主人である咲夜が気を利かせ、乾杯の音頭を取り、この夜の宴が始まった。国と民を守りきった後の酒食は格別に美味く、特に竜次は好物の刺し身を肴に、よく呑みよく食べて、夜遅くまで宴を楽しんだ。皆、良い笑顔を見せている。




 竜次は酒に強いだけあって、二日酔いをしたことがない。昨夜の宴で呑んだ酒量はかなりのものだったが、今日も朝早くから起きて、ドウジギリの手入れなどをしている。


「戦が終わってみるとよく分かる。栄えたいい町並みだな。縁の国、第2の都市だけはあるぜ。潮の香りも風に流れてきて、こんな早い朝でも気分がいい」


 合戦で大活躍してくれた宝刀の手入れを一通り終えた後、竜次は外の空気が吸いたくなり、宿屋からちょっと出てみた。規模は連理の都ほどではないが、きちんと区画整理された町並みが海まで続く港湾都市、それが結の町である。結ヶ原の合戦で、大きな犠牲をこの町は強いられたが、今日もお天道様が顔を出し、町の民を見守ってくれている。結の町は戦いの前以上に、必ず復興するであろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ