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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第3章 縁の国・平定編(中編)
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第79話 結ヶ原の合戦・その4

「ここまで来おったか。人の子にしてはなかなかやるようじゃが、束になったところでわしには勝てまい」

「人の言葉を話すのか! おい! 大将鬼! お前はなんだ!? 何という!?」


 ややもすると押し返されるようなとてつもない妖気を、対峙している金毛のオーガは発し続けている。竜次は大将鬼が放つプレッシャーを、ひしひしと身に受けながら、啖呵を切るように強敵の名を尋ねた。


「ふん。冥土の土産に名だけは教えておいてやろう。わしは金熊童子。さて、余計な喋りはここまでじゃ。こちらからいくぞ!!」


 大杉の幹かと思うくらいの太い両腕で軽々と大金棒を振りかぶると、金熊童子は飛燕を叩き落とす速度で薙ぎ払ってきた!


「おおっ!! 何という豪腕!! ヒヤリとしたのう!」


 竜次、守綱、あやめは、ほぼ同時に大金棒の薙ぎ払いを受けたが、(すんで)のところで見切り、事なきを得ている。当たれば大地も割れるかという攻撃を放った金熊童子の体勢は、その瞬間大きく流れるように崩れている。隙が生じたわずかな時を逃さず、猛将3人は見事な連携を取り、斬撃を畳み掛けた!


(斬れた!? いや、まだね!? 踏み込みが足りなかった!?)


 あやめと守綱は両小手を、竜次は金熊童子のふところ近くに入り、右の二の腕を切断しようと試みた! 大金棒を膂力で振るったため、巨木の如き両腕は伸び切っており、斬撃がまともに入ったと3人ともが思った。しかし転瞬、でかい図体に似合わぬ機敏な動きで身を引き、金毛のオーガは両腕に浅手を負っただけで済んでいる!


「なるほど。思ったより厄介じゃな、お前ら。油断がならん、早めに殺しておくに限る」


 猛将たちの力を正確に認めた金熊童子は、両腕から血を垂らしつつ、筋骨隆々な太い脚で大地を蹴り、引いた体に猛烈な勢いをつけ、ぶちかましを喰らわせて来た! 甲冑装備を付けているとはいえ、まともに受ければ人の体など簡単に砕かれる。ぶちかましの動線からやや外れていた守綱とあやめは、無傷で避けることができた。だが、金熊童子のふところで戦っていた竜次は、身を引いて異常な暴力をいなしつつ、ドウジギリで守の型を作り受け流したものの、


「グッ……やりやがったな!!」


 左半身に中程度の打撲を負った。しかしながら、骨は無事で折れていない。ジンジンとした痛みを堪えつつ、なぜこの程度で済んでいるのか不思議に思い、あたりを素早く見回すと、


(…………!!)


 必死の表情で、堅陣の守護結界を張る咲夜と、宝刀マサムネを抜き、我が妹を守る幸村が、竜次の右手後ろに駆けつけ、3人の猛将たちを援護していた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ボスクラスの金熊童子は、人間の言葉を流暢に話せるのですか。 雑兵のように現れていたオーガ達とは一味違う危険性と風格が感じられますね。
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