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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第3章 縁の国・平定編(中編)
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第78話 結ヶ原の合戦・その3

 後詰めとして備えていた幸村軍から、黒白(こくびゃく)の衣をまとった細腰の麗人が現れ、切れ長の目でオーガの大軍を見据えている。そして手のひらを向かい合わせ、数秒の間、霊力を集中させた次の瞬間!


双炎狐(そうえんこ)!!」


 高熱の炎で形作られた2匹の狐が、空間に向けた両の手のひらから現れ、風を切り裂くスピードで、突進中のオーガ軍に向かっていく! ある鬼は炎の牙で首を食いちぎられ、またある鬼は炎の爪で八つ裂きにされ、大きな屍と化している! 目にも留まらぬコンビネーションを見せる炎狐の攻撃で、あっという間に数十体のオーガが倒され、敵本隊の一角が崩れ、はっきりとした道ができた。


「仙さん! 凄えな! これが九尾の狐の力か!」

「ぼーっとしてる暇はないよ、竜次? あれが大将鬼じゃないかい? 斬ってきたらどうだい?」


 味方もおののく程の、九尾の狐、仙の強さだったが、そんなことを気にする様子もなく、彼女は厳しい目で、敵本隊に開けた道を指し示す。その指を辿ると、他のオーガより二回りほども大きい、赤顔で金色の毛を逆立て、大金棒を右手に下げている鬼が、尋常ではない妖気を発し、こちらの様子を窺っていた。


「猪口才な!! 小童(こわっぱ)どもが!! 皆の衆、怯むな!」


 大量の妖気と、地も震えるかと思うほどの大声で、オーガの大軍は統制を再び整え始め、崩れた陣形を直しながら、平正規軍へ向かってくる! 仙の言う通り、間違いなくあの大鬼が大将だろう。敵本隊に高速で突撃し、オーガたちを高熱で倒してきた2匹の炎狐は、その霊力が尽き、いつの間にか消えている。手をこまねいていては、道が消えてしまう。


「迷ってる場合じゃねえ! 守綱さん! あやめさん! 行こう!」

「分かった! 突っ込むぞ!」

「一気に決めましょう!」


 それぞれの甲冑装備を身にまとう、竜次、守綱、あやめは、ドウジギリ、コテツ、コギツネマル、魂とも言える刀たちの導きを得て、オーガたちのとてつもない暴力を露払いの如く片付け、敵本隊の中を突き進んでいく!




 オーガたちの目は動物に近く、身に危機が訪れた時以外ほとんど無表情なのだが、3人の猛将が対峙した大鬼の顔はそれらと違った。明らかにうつろでなく、激しい怒りの意識を持ち、こちらを()め据えてくる!


(こんな鬼は初めてじゃ! 何という顔をする!)


 臆しているわけではないが、守綱は、今まで斬ってきたオーガと明らかに違う、妖気が猛烈な意識と共に、そこへ存在しているかのような大将鬼へ、刀の切っ先を向けながら、じんわりと嫌な汗を、甲種甲冑装備に滲ませていた。

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