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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第3章 縁の国・平定編(中編)
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第76話 結ヶ原の合戦・その1

 1体の強力なオーガに対抗するには、10人の精兵が必要である。朝露が残り地が濡れている結ヶ原に、展開するオーガは300。結の町守備兵は総勢1500。不確定要素を加えない単純な引き算として考えると、こちらの戦力は全く足りていない。


(だが守らねば、ここで終わりだ)


 真正面から鬼たちにぶつかれば、呆気なくこちらが負けるだろう。しかし与一には、命を賭して戦場に駆けていく同士たちに、託した一策があった。


 得物を抜き、結ヶ原の前線に走り出て行く同士たちの兵数は700。オーガの軍勢にとって様子見の初戦で、結の町守備兵は損耗し、既に戦闘不能状態の兵も出ている。背水の陣とはいえ町の守備も考えると、ギリギリ最前線に行ける兵数がそれだった。守備兵たちは、鶴翼の陣を模して広がり、300のオーガ軍に、ベニヤ板のように薄い陣形で突貫しようとする!


「グガァアアア!!」


 非常に薄い鶴翼の陣は、オーガたちの太い腕の膂力により、すぐ木っ端微塵に破られるかと思われた。だが同士たちは、ほぼ見かけだけオーガに攻撃を加えた後、徐々に陣の中央に兵力を集めていく。幾らかの統制があるものの、知性が低いオーガたちは、同士たちの動きに釣られ、結ヶ原の中央へ中央へと、次々に誘導されていく!


「よし! 皆の者!!! 左右に退避!!!」


 防壁の上から拡声器を用い、大声自慢の守備兵たちが、与一からの大号令を発する! 最前線で戦う同士たちは、一個の生き物のように、退避命令を聞いた瞬間素早く動き、それを見届けた与一は、


(…………!!)


 静かに確かな狙いを定めた震天弓の矢を、閃光と共に放つ! 一直線上に並んでいたオーガの軍勢は、その刹那、何が起こったのかも分からぬまま、断末魔の叫びをあげることなく、光のエネルギーの爆発と共に粉砕された!


「ハァハァ……。ここまでは上手くいったが……あとはどれだけ時間を稼げるかだ」


 震天弓の矢による、光の大爆発で消え去ったオーガたちは、およそ半数。まだ150ほどが残っている。今日の与一に矢を射る力は残っていない。天運を最前線の同士たちに預け、昌幸率いる平正規軍が来るのを待つしかない。


 死人(しびと)の覚悟で、同士たちは雄叫びをあげ戦い始めた。生まれ育った国を守るため、異形のオーガに応ずる彼らだったが、それを見捨てない救いの光明は、意外に早く同士たちに差し込んできた!


「風刃!!」


 力強く美しい法術を操る声と共に、無数の風の刃が高速で飛来し、数体のオーガたちを斬り飛ばしていく!

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