表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第2章 縁の国・平定編(前編)
29/321

第29話 異世界のテクノロジー

 連理の都の周囲には、4つの赤い大曼荼羅が東西南北に1つずつ作られている。4つのいずれも都から外れた場所にあり、それらは、今、竜次たちがいる青い大曼荼羅に向け、地脈を通して超速子をエネルギーとして送り続けている。つまり、赤い大曼荼羅は周囲の自然界にある力を超速子に変換して集め、青い大曼荼羅はその莫大な超速子のエネルギーを受け取り、連理の都全体に放出しているのだ。


「それが大曼荼羅と超速子の関係を利用した、一連の施設の仕組みじゃ。都内の家々では、超速子を使って様々な道具を動かすために、緑色の曼荼羅が描かれた護符が貼られておる。竜次よ、お主の家にも貼ってあったはずじゃ」

「ああ、そういえば確かに。茶を沸かす時に、電磁調理器のような物があったんで、コンセントにプラグがつながってないのに、何で動くんだろうと不思議に思ってました。家の大黒柱に貼ってある緑色の曼荼羅がそうだったんですね」

「そういうことじゃ。その家にある曼荼羅が、お主が言うコンセントの役割をして、超速子の力を調整しておるのじゃ」


 広く静かに輝く青の大曼荼羅を眺めながら、守綱から説明を聞いた竜次は、法力の発展により生み出された、超速子というテクノロジーに、感服しきりである。


(科学だけに絞ってみても、日本より進んでない面もあるが、反対に遥かに進んでいる面もある。アカツキノタイラは全く不思議で侮れない世界だ)


 例え、死ぬまでこの異世界にいたとしても、退屈することはなさそうだ。竜次は、丘の上から連理の都の全容と青く澄み渡った空に眼差しを向け、これからの異世界生活に期待を込めた笑みを浮かべた。




 数日間の休暇が終わった後、竜次と守綱に、大宮殿への出頭命令が伝えられた。咲夜の手厚い看護の甲斐があり、幸村の手傷が完治したと、その伝令の中で聞いている。


(そうか、若殿が……まずよかった)

(やはり咲夜姫だな。姫の法力は凄いもんだ)


 守綱と竜次が幸村の回復に関してそれぞれ思っているが、2人の考えている内容には、やや異なった部分がある。守綱は忠義の人らしく、若殿の回復をそのまま喜んでいるのだが、竜次は、浄土山からの帰り、幸村の手傷をどれほどか見立てており、


(これは全治に半月から一ヶ月はかかるかもしれんな)


 と、冷静に予測をしていた。実際、日本の医療で治すと仮定して、それほどの傷を幸村は負っていた。かすり傷にしては深手寄りだったのだ。それが数日ですっかり完治したことに、はっきり言えば、いい年のおっさんである竜次ですら、仰天してしまった。咲夜が持つ治癒の法力は、それほどのものというわけだ。異世界と日本の間の、カルチャーショックと言えばいいだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ