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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第6章 暁の国・平定編(後編)

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273/321

第273話 戦後処理

 アーサー王とランスロット将軍は、攻城戦に勝利し首都を奪還した後、食事をとる以外に休むことなくエディンバラ城へ入り、夜にも関わらず、早速(さっそく)、戦後処理を開始した。広い城内には、虎熊童子の苛烈な支配を受けていた痕跡が至るところにあり、どこもかしこも荒れ果てている。しかしながら、今は後片付けが優先事項ではない。


 王と将軍は、虎熊童子のオーガ軍と勇敢に戦い、命を落とした兵と民たちの葬送を何より先に手配し、非常に簡素な形ではあるが、深い感謝と哀悼の誠で英霊たちを天国に送り出した。その合同葬と並行して、激戦により傷を負った多数の兵たちの手当も、エディンバラ城中庭のスペースを利用して行っている。


 咲夜を始めとする縁の国の5将も当然、合同葬に参加し、負傷兵たちの治療も手伝っていたのだが、客将である5人にそこまで働いてもらっているのを、心苦しく思ったのだろう。アーサー王は、適当なところで咲夜たち5将に切り上げるよう伝え、ランスロットに今夜の宿を手配させた。


「一晩ゆっくり休み、(いくさ)疲れを取ってから、明日、どの時間でもよいので御登城下さい」


 宿まで咲夜たち5人を案内したランスロットはそう言い残すと、勝利の美味酒(うまざけ)に酔いしれている城下町の民たちに手を振りながら、残務を片付けるためエディンバラ城へ戻って行った。




 虎熊童子の支配から解き放たれ、民たちの間に大歓喜の余韻がまだ残る翌日の朝。


 激戦の疲れがドッと出た竜次たち一行は、皆、宿屋の柔らかいベッドで、朝のまぶしい日が部屋に差し込んできても、泥のように眠っていた。5人全員が起き、遅い朝食を取った後、揃って宿を引き払ったのが、もう昼前である。


 宿屋を出た竜次たち一行は、今、城下町の北側を歩いている。歴史が深い堅固な建材で造られたエディンバラ城が、そびえ立つ方向とは真反対だが、これには理由がある。昨夜、城を出るときに一行は、アーサー王から、


「負傷兵の治療などで、現状、人手が不足していてね。他のやるべき仕事にまで手が回らないんだ。客将のあなた方に頼むのは心苦しいが、明日、登城する前に、城下町を探索がてら巡察しておいてくれないか?」


 と、軽めの仕事を依頼された。竜次たちにしても、大戦(おおいくさ)の後、エディンバラの城下町がどのような状態になっているか、確認しておきたいと考えていたところであり、王の頼みをその時、快諾したわけだ。


 鬼たちを打倒してから、まだ一晩しか経っておらず、城下町の建物には激戦の傷跡が生々しく残っている。そうした攻城戦後の荒れた町並みを、シリアスな顔で巡察していた竜次たち一行に、後ろからやや大きな声で呼びかけてきた者がいる。

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