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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第6章 暁の国・平定編(後編)

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252/321

第252話 要領は分かったが

「効くのは効いているが……」

「しぶといですね」


 嵐のごとき強力な風の刃による法術攻撃は、確実に効いてはいる。だが、ホワイトオーガは腕や片足など体の一部を切り刻まれ失っても、自己再生能力の限界を上回る致命傷に至らず、大きな傷口から新しい手足を、とてつもない回復力で生やそうとしていた。


 相当な風の法力を集中し、撃ち放った咲夜、仙、晴明の3人は、異常としか言いようがない頑丈さと、回復機能を持つホワイトオーガの巨体を見て、一瞬呆然としかけたが、


「竜次! あやめちゃん! 今だよ! 法術だけで駄目なら、力任せに斬りかかるんだ!」


 先程、アロンダイトでランスロットが首を斬ったときよりも、ホワイトオーガの再生能力が鈍っているのに気づいた仙が、刀を抜き放ち切っ先を白鬼に向けている、竜次とあやめに好機を知らせた。二人は黙って素早くうなずくと、


「オオオォォォッッ!!」

「ハアアァァッッ!!」


 神速の突貫をかけ、回復しかけているホワイトオーガの1匹を(なます)に斬り刻む! 息の合ったコンビネーション物理攻撃により、体を肉塊レベルにまで刻まれたホワイトオーガは、自己再生能力の限界を超えるダメージをようやく被った! ソールズベリー平原の大地に散らばり落ちた肉塊や骨は全て消滅し、白鬼1匹の体は、1個の白い宝珠へと変化している!


「要領は分かったが、こいつは大変だな!」

「再生能力があるだけでなく、固いですね。改良したコギツネマルの刃でも攻撃が通りにくい」


 倒すには倒せたが、尋常でないホワイトオーガの耐久力である。竜次たちが今まで倒してきた、四天王の鬼たちのどれと比較しても、体の頑丈さだけで言えば遥かに凌駕した能力を持っており、ドウジギリとコギツネマル、2振りの刀をシャーウッドの武器工房で改良していなければ、攻撃力不足で刃が通じなかった可能性すらある。


 白鬼の固い体を息もつかせぬ連携攻撃で切り刻んだため、若干だけ呼吸を乱していた竜次とあやめであるが、ホワイトオーガはもう1匹残っている。同胞が倒されたにも関わらず、まるで感情が希薄なゴーレムのように迫りくる白鬼を斬り刻まねば、この戦場は収まらない。


「お待たせした。体が整いました。あのホワイトオーガには、アロンダイトの刃が物を言います。総攻撃で粉砕しましょう」


 残る1匹のホワイトオーガを迎え撃つため、竜次たち5人の将が態勢を作り身構えていると、十分休息を取り、体力を回復させたランスロットと50名の精兵が戦列に復帰してきた。


 将軍が軽々と抜き放ち構える剛剣アロンダイトは頼もしく、異常な耐久力を持つ白鬼の体を砕くのに、その大刃はうってつけだ。

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