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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第6章 暁の国・平定編(後編)

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251/321

第251話 莫大な耐久力

 数日間、ソールズベリー平原で戦い続けていたランスロットは、便宜上、正体不明の真っ白なオーガを、ホワイトオーガと呼んでいる。最初ホワイトオーガは3匹いたのだが、1匹はしつこく集中攻撃をかけ、今朝になってようやく何とか倒せたと言う。ただその攻撃で、ランスロットと50名の精兵は消耗してしまい、残り2匹のホワイトオーガに苦戦している状況だ。


「戦闘経験からの結論を言うと、ホワイトオーガは1匹1匹集中攻撃しないと倒せません。中途半端な攻撃では自己再生で回復してしまいます」

「そのようなオーガがいたとは……。分かりました。ありがとうございます、ランスロット将軍。将軍は精兵の皆さんと体力が回復するまで休んでいて下さい。それまで私たちが戦います」


 対処法を聞き、正体不明のホワイトオーガとどう戦えばよいか、おぼろげながら道が見えてきた咲夜は、縁の国の将を率いるリーダーとして、ランスロットからこの戦場を引き継ぐと、白鬼2匹を引きつけ、応戦している竜次たち4人のところへ颯爽(さっそう)と駆けつけた。


「咲夜ちゃん、戦い方が分かったかい? この真っ白い2匹は、そう強くもないし速くもないんだけど、堅くて再生するから面倒だよ。どうすればいい?」

「中途半端な攻撃では元の木阿弥になります。私と仙さん、それに晴明さんの法術をホワイトオーガの1匹に集中してかけ、攻撃しましょう。念入りに白鬼の巨体を壊さないと倒せません」


 仙は、緩慢な動きで襲いかかってくるホワイトオーガ2匹の暴力をいなしながら、地水火風4属性の法術を駆使して戦っていたのだが、先程、ランスロットが剛剣アロンダイトで首を斬り落としたときのように、大傷を白鬼たちに与えても、すぐに再生してしまう。


 竜次、あやめ、仙、晴明といった、さしもの歴戦の将たちも、全く未知の敵に対し、戦い方が分からず攻めあぐねていたようだが、ホワイトオーガが持つ再生能力の限界まで、攻撃を加えれば倒せることを咲夜から聞けた。その情報によって、ようやくここで効果的な戦闘方針が決まり、皆で結束して戦える態勢が整った。


(では、参りましょう)

(わかったよ)

(うむ)


 咲夜、仙、晴明の3人は目で示し合わせると、風属性の法術を同時に唱え、空間に生み出された尋常でない数の風の刃を超高速で撃ち放ち、1匹のホワイトオーガを完全に切り刻まんと試みた!


「グオオオォォオオオ!?」


 緩慢な動きでは、超高速で飛びかかる無数の風の刃を一つでもかわせるものではなく、ホワイトオーガの1匹は、両手を交差し体を(かが)めて法術攻撃を受け切るしかなかった! 白鬼の巨体は嵐のように飛び交う風の刃により、完全に切り刻まれたかと思われたが……。

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