表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第6章 暁の国・平定編(後編)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

248/321

第248話 リーダーシップ

 空気環境改善により、活気が戻った町中を歩いている竜次たち一行は、しばらくして、造りの威容が頼もしいシャーウッドの砦兼役所の玄関前に着き、守衛兵と挨拶を交わした。一行の姿を見た守衛兵は快い顔で、皆をアーサー王とランスロット将軍の二人が居るであろう執務室に通す。


 重厚感漂うドアをノックして開け、竜次たち5人が洋間の執務室に入ると、アーサー王()()()がソファーの片隅で難しい顔をしながら座っていた。王は自らドアを開け、竜次たち一行の再来訪を迎える心の余裕も無かったのだろう。シャーウッドの町に戻った活気とは対照的な悩み深い顔であったが、心配そうにソファーへ近寄ってくる咲夜や竜次の姿を目に認めると、碧眼の王はようやく悩みから気持ちを切り替え、


「咲夜姫、皆さん、よく戻ってきてくれた」


 と、笑顔で再会の握手を皆と交わすことが出来ている。


「考え事で悩まれていたようですが、どうなさいました? お話を伺いたいのですが?」


 いつも通りの冷静さで、あやめは、極めてシンプルにアーサー王へ聞いてきた。若いあやめに思いやられながら、直接的な言葉で心情を言い当てられた王は、自分に不甲斐なさを感じたのか苦笑するしかなく、


「ありがとう、あやめさん。今回もあなたと咲夜姫たちを頼らせてもらおう」


 そう感謝を示しながら、正直に今抱えている悩みを竜次たち5人に話し始めた。


 アーサー王は、詳しく悩み事を咲夜や、竜次たち縁の国の将へ話していくうちに安堵したのだろう。顔が段々と穏やかなものに変わってきている。


 王の抱える悩みはこうだ。


 咲夜たちと皆が気づいているように、今、ランスロットはシャーウッドにいない。将軍は、熊童子との合戦後、わずかだけ残っていたオーガたちを討伐するため、戦場になっていたソールズベリー平原に向かい、剣を振るっている。そのはずなのだがどうも様子がおかしく、討伐にかなり時間がかかっており、何回かソールズベリーとシャーウッドを往復している伝令兵からの報告を聞いても、今ひとつ何が起こっているのか要領を得ないのだという。


「戻らないランスロットが気にかかっている。しかし、私がシャーウッドを離れるわけにはいかない。咲夜姫、皆さん、度々すまないが、ランスロットのところへ援軍に行って欲しいんだ。お願いしたい」

「分かりました。私たちはシャーウッドに縮地の法術で来ました。来たばかりですが、疲れてはいません。早速、援軍に向かいましょう」


 暁の国の最高責任者として、アーサー王は恥も外聞も捨て咲夜に救援を依頼している。縁の国の姫として、咲夜は誠意を見せなければならない。


 頼もしい笑顔で救援要請を承諾すると、銀髪の姫はその証の意味を込め、アーサー王ともう一度握手を交わした。若年ながら豊かなリーダーシップを示す咲夜の下、彼女を支える縁の国4人の将たちは、心を一つに結束している。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ