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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第6章 暁の国・平定編(後編)

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232/321

第232話 勝利の凱旋

 光の門を潜り、竜次たち3人がソールズベリー平原に戻ると、そこにはあやめと仙、それにアーサー王とランスロットが心配そうに待っていた。帰ってきた竜次、咲夜、晴明の姿を目に認めると、アーサー王はホッとした顔で咲夜の方へ歩み寄り、


「みんな無事なようだね、よかった。探索で何か発見はあったかな?」


 まず竜次たちの無事を喜ぶと、光の門を通った先に何があったかを聞いてきた。言葉にするまでもなく、咲夜は先程、最上の成果物を獲得しており、無限の朱袋から国鎮めの銀杯を取り出すと、アーサー王へ少し得意そうに見せている。


「これは!? 素晴らしい! これ以上ない成果だ!」

「はい、最高の探索になりました。光の門の先には、石柱群が並ぶ古代遺跡があったのですが、石柱をよく見て探した結果、この国鎮めの銀杯を手に入れることができたのです」


 縁の国から来た咲夜たち5人が、国鎮めの銀杯を探し求めていることを、アーサー王は既に知っている。シャーウッドの砦の執務室で最初に会った時、砦の食堂で催した小宴会の席との両方で、咲夜たちの方からそれとなく話していたからだ。


 咲夜が法力を使い、銀杯を祭壇に置いた国鎮めの儀式を行うことで、アカツキノタイラに漂う瘴気が晴れていき、最終的な世界の平穏と平和に繋がるという説明も、アーサー王は、その話の中で聞いている。つまり、暁の国縁の国連合軍は、ソールズベリーの合戦において(あかし)付きの完璧な勝利を収めたわけだ。


 最高の結果を得たアーサー王は覇気に満ちた顔で、周りに集結している約3000人の精兵を見回すと、


「天が味方し、ソールズベリーの戦いにおいて我々はオーガ軍を撃破した! ランスロット! 皆と勝どきを上げよ!」

「承知いたしました!」


 すぐ傍にいる将軍ランスロットに、勢いよくそう命じた。ランスロットは深く息を吸い込むと、あらん限りの大声で、


「暁の国に栄光あれ!!!」

『暁の国に栄光あれ!!!』


 合戦を共に戦った同胞の精兵たち全員と、勝どきを上げた! 国の存亡を賭けた戦いに見事勝利した将と精兵たちは、皆、最高の笑顔で喜びを分かち合っている。




 激しい戦いを終え、ソールズベリー平原から帰還した英雄を迎え入れたシャーウッドの民たちは、ある者は笑い、ある者は涙を流して歓声を上げ、惜しみない勝利の祝福を贈っていた。大歓声に応え、民たちに笑顔で手を振るアーサー王と将軍ランスロットであったが、彼らは戦場で命を散らし、犠牲となった同胞のことを片時も忘れてはいない。


(まず、彼らの死に報いねば)

(それが最初の仕事ですね)


 王と将軍は勝利の祝福を受けつつも、一瞬だけ目を合わせ、互いの意志を通わせた。暁の国の指導者としての責任を果たすため、彼らは自分たちを信じてついて来てくれる者たちのことを考え、いついかなるときでも応えなければならない。

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