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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第1章 果てしなく広がるアカツキノタイラ
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第23話 浄土山の戦い・その1

 アカツキノタイラにおいても、太陽は東から昇り西に沈む。そうであるので、縁の国から見て宵の国は西に位置するのだが、平幸村が戦っている浄土山は、連理の都から西に進んだほど近い国境にある。ほど近いと言うものの、アカツキノタイラは広い。馬を飛ばして1日はかかる距離だ。


 浄土山の麓、開けた野の陣幕にいる幸村は焦っていた。賊の討伐自体は1日で片付いている。問題は、平昌幸が危惧していたように、オーガと賊が結託していたことだ。


「糧食はまだある。青鬼も少しずつ斬れてはいる。しかし、相手の数が多い……兵の消耗が激しい」


 難なく蹴散らしていた賊が、呼笛を吹いたのを皮切りに、浄土山の森の中から、ブルーオーガが数十体現れたのだ。悪いことに、日本で守綱たちが苦戦していたレッドオーガより、それらは幾らか強い。想定外の敵の出現に、十分な備えをしていなかった幸村の軍勢は、大苦戦を強いられていた。


「若殿! ブルーオーガが陣幕近くまで迫っております!」

「よし! 打って出るぞ! 腹をくくれ!」

「はっ!」


 今まで自ら打って出るのを側近に止められていたが、総大将の幸村がいる陣幕まで敵が迫ればそうはいかない。縁の国に伝わる宝刀マサムネを手に、精鋭の側近たちを率いて、幸村は陣幕から駆け出て行った。




 大岩すら軽く砕きそうな青肌の腕を持つブルーオーガが2体、こちらに緩慢な歩みで近づいている。知性はそれほどでもないが、その膂力は人間と桁違いだ。青鬼1体と対峙するのに精兵10名は必要であり、その態勢がとれたとしても、兵に大きな損耗が出て勝つのがやっとである。


(このままではいずれ負ける。援軍が来てくれれば……)


 幸村のみならず、戦い続けている皆がそう思っていた。


「皆の者! ゆくぞ! 青鬼を斬り伏せよ!」

「応!!」


 既に宝刀マサムネを抜いた幸村は、甲種甲冑装備を身に着けている。運動性と防御力が、乙種より優れた防具であるが、ブルーオーガの腕や脚から繰り出される打撃をまともに喰らえば、それでも命を取り留めるのがやっとだろう。


(私はマサムネの力を半分しか使えない。だがやるしかない!)


 これ以上、部下の犠牲を見てはおけない。総大将としての悲壮な決意と覚悟を胸に、幸村はマサムネを上段に構えたかと思うと、豹の如き素晴らしい瞬発力で一気に間合いを詰め、ブルーオーガの右腕を肩から見事に斬り落とした! それに意気を得た精兵たちが手負いの青鬼を囲み、連携十分な攻撃を加え、ブルーオーガの1体を仕留めている!

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― 新着の感想 ―
 やはり甲種甲冑装備も特撮っぽいんでしょうね。ゴテゴテフルアーマーな重装備フォームが思い浮かびます。(笑)
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