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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第6章 暁の国・平定編(後編)

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225/321

第225話 ソールズベリーの合戦・その6

 戦場を覆う霧の中、ランスロットが剛剣アロンダイトを最前線で振るい、精鋭部隊と共に奮闘している。身命を賭して戦う彼らの援軍として駆けつけた竜次とあやめは、背負っていたドウジギリ・改、コギツネマル・改を鞘から抜くと、赤竜鬼の膂力に押され、苦戦中の精鋭部隊を救うべく連携攻撃を仕掛けた!


「これは!」

「刀が軽い!」


 武器工房の大将が命を懸け、刀の2振り同時鍛造という一世一代の離れ業をやり遂げた結果、竜次とあやめの半身とも言える愛刀には、新たな力が宿った。流れるような連携で、赤竜鬼の胴と首を斬った竜次とあやめであったが、幅広の厚い刃を持つドウジギリ・改、コギツネマル・改は、打ち直し前よりむしろ軽く、斬撃を敵に当てた瞬間、ゾーンに入った自分たちの意のままに、手応え深く斬れている。


 改良された2振りの名刀は、あまりにも扱いやすく、竜次とあやめは戦場の最前線にいるにも関わらず、刀の力にやや圧倒され、一瞬動きが止まってしまった。


「竜次殿、あやめさん。戦場で立ち止まっている暇はないぞ。一気に片付けよう」


 隙を見せた竜次とあやめ目掛け、左右から同時に襲いかかってきたオーガたちを、後詰めの形でついてきた晴明は、あしらうかのように地の法術で粉砕していく! わずかな戸惑いから我に返った竜次とあやめは、援護してくれた晴明の方を見ると、彼は右手首に、満月と半月、それに三日月の形に加工された青の霊石がはめ込まれている、銀の腕輪を装着していた。いつぞやの宴で、晴明は見せてくれたことがある。陰陽師の法力を飛躍的に高める、月光の腕輪だ。


 アーサー王の聖剣エクスカリバーに導かれ、後方にいた部隊も含め全軍が前線に突撃している! 強攻を仕掛け、勝利を一気に引き寄せるには今しかない。シャーウッド軍の将兵たちは、自分の力のあらん限りを振り絞り、獅子奮迅の活躍でオーガの大軍を東へと追い詰めて行く!




「ええい! 忌々しい! あれだけ同胞がいたのに何たるざまだ!」


 合戦での敗勢が濃厚となったオーガ軍の大将鬼は、蛮刀を抜き、歯噛みをして激しく悔しがっていた。鬼には珍しく用兵に長けているとはいえ、従わせるオーガが次々と倒されていく状況では、もはや打つ手はないと言ってよい。


「そこの小さく赤い鬼、お前が大将鬼だろう。殺す前に聞いておいてやる、名は何という?」


 少しばかり高い、よく通る声に呼びかけられた大将鬼は、恐怖の冷や汗を(にじ)ませながら、前を向いた。大将鬼の眼前には、戦闘服である黒の狩衣(かりぎぬ)を着た晴明が、涼やかな眼差しを向け落ち着き払い、霧の平原に立っている。

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