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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第6章 暁の国・平定編(後編)

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221/321

第221話 ソールズベリーの合戦・その2

 将軍ランスロットの強さは凄まじく、あとに続く精鋭部隊の士気は、国家存亡を賭けた戦いにおいて天を衝くほど上がり切っている。しかしながら、小柄な大将鬼が呼笛で統制し、適度な間隔でそれぞれの弱点を補いながら陣形を組んでいるオーガたちの戦い方は、ランスロットたちが普段から撃退してきた野にいる各種の鬼たちのものと、一味違っていた。


「むっ、これは!? 大丈夫か!? みんな!?」


 剛剣アロンダイトを自在に扱えるランスロットなら、多少のオーガに囲まれたとしても、剛剣に導き出される人間離れした強さにより敵を(ほふ)り、道を切り開くことができる。


 だが、オーガ1匹と互角に立ち向かうためには、一般的に精兵が10人必要である。赤竜鬼などの強力なオーガと戦うには、それより多くの精兵が必然的に要るはずだ。ランスロットが今率いている精鋭部隊は1000人、対峙している先鋒のオーガ軍は120匹以上展開しているだろうか。勘定の上では今のところこちらが不利な戦況であり、十分な訓練を積んだ人間の兵のように、オーガたちは陣形を崩さず波状攻撃を仕掛けてくる! 


 将軍として優しすぎるランスロットは、オーガ軍の統制が取れた攻撃に(さら)され、苦戦している精兵たちを見捨てることができず、庇いながら戦っているため突撃の勢いは鈍り、前線は混戦模様になり始めた。


「玄武陣!」


 息が上がらないよう気をつけながら走り、戦場の最前線に追いついた咲夜は、四象の杖を持ち法力を集中すると、広範囲に水属性の守護結界を張った! 神獣玄武の力を借りた守護結界が、範囲内にいる味方の将と兵を判別し、個々の防御力を増強させている!


「咲夜様! ありがとう! これなら戦えます!」

「ごめんなさい、少し遅れました。私と仙さんが援護します。もう大丈夫ですよ!」


 咲夜の援護と皆を勇気づける言葉は、さながら戦場に咲くコスモスであり、前線部隊を落ち着かせ、オーガ軍の波状攻撃により生じている混乱を鎮めた。


「さて、どいつから燃やしてやろうかね!」


 咲夜の隣では、黒白(こくびゃく)の戦闘衣に身を包んだ仙が霊力を集中し、


「双炎狐!」


 両手のひらから空間へ2匹の炎狐を解き放ち、最前線のオーガ軍に空を切り裂く速度で飛び掛からせた! 炎狐たちに喉笛を噛み切られ、胴を真っ二つに切られたオーガたちは即死し、野辺に次々と屍を晒している! とてつもない仙の強さだが、法術を放った当の彼女は面白くない顔で、思ったほどの手応えを感じていなかった。


「間隔を取った陣形を組んでる分、多くは倒せないね。なかなか考えてるじゃないか」


 敵のオーガたちが間隔を空けて配置されているため、仙が呟いているように、霊力により生み出された炎狐が、一定時間後に消え去るまで、想定したほどの敵を倒せていないのだ。


 ともかくも、前線に追いついた咲夜と仙の援護により、今の戦況はシャーウッド軍の優勢になった。しかし、こちらも戦力的な決定打に欠けており、合戦の1日目は引き分けの形で双方とも軍を引き始めている。

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