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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第5章 暁の国・平定編(前編)

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207/321

第207話 心づくし

 竜次たち一行を歓待する小宴会は、シャーウッドの砦内にある食堂で催されている。林業と木工が主要産業であるシャーウッドでは、こういった公の施設に設置されている家具も少しばかり独特で、宴に参加している皆は、木材を職人技で加工し、うまく組み合わせて作られた大きな円卓の席に座っていた。表面に艶出しの特殊な木工用薬品が塗られており、テーブル表面の趣ある木目と相まって、広い円卓の高級感が自然に醸し出されている。


 立派な円卓に感心している竜次の隣には、ランスロットが座っており、目の前の、素晴らしい木材の曲がりを見せるテーブルについて聞いてみたところ、暁の国では上座下座がない円卓が、独自の文化的に好んで使われていることを知った。所変われば品変わるということわざを思い出すと同時に、


(アーサー王と円卓……どっかで聞いたことがあったような……)


 学生時代、何かの本を手に取った時に読んだ物語の記憶が呼び覚まされかけたが、頭の中が曖昧になるばかりだったので、竜次は考えるのを一旦やめた。


「竜次殿、ランスロットを助けてくれてありがとう。先の戦いでは大活躍だったそうですな。心から感謝しております。ささやかですが、このワインで今夜は存分に楽しんで下さい」


 小宴会の食事を始める前に、アーサー王が自ら円卓の席にいる参加者たちに、発酵したぶどうで作られた、芳醇でフルーティーなワインを注いで回っている。竜次はアーサー王の酌を受け恐縮したが、この気さくな王は、自分が暁の国の王であることにこだわりがなく、身分差を全く気にしない性格的な特長を持っているようだ。恐れ多いと思う竜次の態度を、手を振りながら笑っていなしている。そんなことを気にするな、というジェスチャーだろう。


 縁の国の姫、咲夜を長として来訪した、心強い将たちへの歓待と、暁の国の首都エディンバラの奪還を期して、アーサー王は短い挨拶を行った後、乾杯の音頭を取り、小宴会が始まった。


 大きな円卓に並べられたメニューは、暁の国とシャーウッドの台所事情を表しているのか、少々料理の種類が少なかったが、それでも今の心づくしが並べられている。濃厚なチーズと旨味たっぷりのハムが乗ったピザ、牛肉がよく煮込まれた温かいシチュー、手間をかけてじっくり焼かれたローストチキン、十二分過ぎるご馳走であり、特に美味しいものに目がないあやめなどは、


「すごい……こんな美味しい料理が世の中にはあるんですね」


 初めて食べる洋食の素晴らしすぎる味に、大きなカルチャーショックを受けていた。

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