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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第5章 暁の国・平定編(前編)
199/321

第199話 技術の結晶

 さながら森林浴のように、瘴気が薄く混じりながらも清々しい辺りの空気を吸いつつ、シャーウッドをしばらく歩いていると、やがて都市の中心街が見えてきた。


 多種多様な目的で多くの店が立ち並ぶ街を、人々が忙しそうに行き交っている。ちょうどシャーウッド中心街の最中心部はロータリーになっており、道が円状に造られたその中にある芝生が植えられた土地に、シャーウッドの役所兼砦の機能を有する建物があった。竜次たちは旅の目的地の一つに、ようやく辿り着けたことになる。


「少々お待ち下さい。砦の守衛兵に話をつけて来ます」


 ここまで竜次たち一行を案内してくれた大門の警備兵は、そう断りを入れると、役所兼砦の中に入って行った。彼が戻ってくるまでそれほどの時間はかからなかったが、その間に竜次たち5人は、特殊な加工をした木材で作られた、役所兼砦の外観を観察することができている。木造でありながら外壁の頑強さは石や鉄に匹敵しているのが、触った感覚で手のひらに伝わってきた。


「お待たせしました……ああ、砦の造りが気になっていたのですね」

「ええ。随分変わった加工がしてある木材だなと、触りながら見ていました。異様に思えるほど壁が丈夫だ」


 役所兼砦の守衛兵と話し、取り次ぎを済ませて戻ってきた案内の警備兵は、竜次が強い興味を持って、頑強な建物を見ているのに気づき、笑顔で話しかけてきた。竜次の純真な好奇心に好感を持ったのだろう。


「この砦は、ご覧になった通り木造ですが非常に頑丈です。お気づきになったように、特殊加工が施された木材で建造されています。外壁について言えば、樫の木材に法力が込められた特別な薬品を塗り、木の頑丈さを層倍に増すと共に、オーガなどを寄せ付けない魔除けの力を持たせております。シャーウッド随一の腕を持つ職人たちにより生み出された、技術の結晶がこの砦と言えます」


 博識な警備兵が胸を張って説明できるほど、役所兼砦は立派で強い堅固さがある。広々とした3階建ての威容は、いざというとき、シャーウッドが難攻不落の要塞として機能することの証明になっていると、竜次たち一行には、それぞれの目を通して感じられた。




 秋の空は高く、柔らかい陽光も差しているが、日の傾きを見ると、もうすぐ昼下がりになる。竜次たち5人は少しばかり時間を気にしながら、警備兵と共に役所兼砦の玄関前まで行くと、


「お待ちしておりました。どうぞこちらへ」


 守衛兵が丁寧な挨拶で一行を迎え入れた。良い案内役であった警備兵とは、ここでお別れである。博識に様々な説明をしてくれた彼は、竜次たち5人と砦の守衛兵に軽く会釈をした後、持ち場であるシャーウッド南側の大門へ、振り返ることなく戻って行った。


 あとを引き継いだ守衛兵の案内を受け、ある一室の重厚な扉の前に竜次たち5人は立っている。この部屋に暁の国の王、アーサーが居るはずだが、統治者としてどのような人物なのだろう? 扉を開いてみなければ分からない。

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