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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第5章 暁の国・平定編(前編)
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第197話 天然の要害

 関所の武官が示した、暁の国と主君アーサー王への想いと忠誠に心打たれた咲夜は、国を憂うあまり土下座をして頼み込んでいる武官の顔を上げさせ、暁の国に平和を取り戻すため、力になることを確約した。顔を上げた武官は、心強く請け負ってくれた竜次たち一行を安堵の笑顔で見回し、一人一人と握手を交わすと、


「ありがとうございます! お見受けしたところ、あなた方は非常にお強い。その強さは、一騎当千どころではないでしょう。この上ない援軍を得た思いです! 我が王と暁の国をお救いください!」


 竜次たちの強さを自分の見立てで評価し、咲夜、竜次、あやめ、仙、晴明の5人を関所から暁の国へ送り出した。会って見ただけの肌感覚で、竜次たちの強さを測れるということは、この関所を統括する武官も、場数を踏んだ相当な手練(てだれ)なのだろう。


 期待を込めて関所を通してくれた武官の想いを確かに受け取った竜次たち一行は、改めて気を引き締め、暁の国第2の都市シャーウッドへ向かって行く。




 関所を出た後、シャーウッドまでの旅は順調で、半日もかからず日がまだ高いうちに近辺まで辿(たど)り着くことができた。シャーウッドは暁の国西部に位置する内陸の都市であり、深い山林に覆われた天然の要害でもあると、八日市で出会った旅人や、関所の武官から話を聞いている。なるほど、都市の外観を近くの小高い丘から眺めると、三方を山に囲まれた盆地を利用して商業区や工業区、居住区などが広く造られており、シャーウッドの中に入るには、都市の南側に付けられた幾つかの大門を通るしかない。守るに易く攻めるに難い、都市自体が自然の地形を利用した大きな要塞になっていた。


「こりゃ凄いね。こんな要害ならオーガたちが攻めてきても、ちょっとやそっとで落ちやしないだろうね」

「そうだな。縁の国には無い形の都市だ。地形の長所を目一杯使って、栄えた町を造っている」


 悠久の時を生きてきた仙と晴明ですら、シャーウッドの理にかなった都市の造り方に感銘を覚えている。竜次、咲夜、あやめの3人などは、今まで見たことがない新鮮な都市の光景を、小高い丘の上から飽くことなく眺めていたが、


「ここまで来て感心してばかりもいられませんね。シャーウッドに入ってみましょう」


 と、若干の観光気分から咲夜は本題に戻り、馬と天神足を使い、シャーウッドの南側にある大門の一つへ皆と向かった。




 暁の国の統治者アーサー王が、このシャーウッドに落ち延びているという情報を、竜次たち一行は既に得ている。それもあるのだろう、大門を守る警備兵の緊張感はただならぬ様子で、シャーウッドに近づいてくる竜次たちを発見した警備兵の一人は、大声で周囲に警戒態勢を取るよう伝えると、竜次たち一行を厳しい声で呼び止めた。


 シャーウッドに入るには、まず、都市を守る兵たちに信用してもらわなければならない。重要で大事な、欠かせないところだ。

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