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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第5章 暁の国・平定編(前編)
194/321

第194話 お待ちかね

 難なく赤竜鬼を撃退した竜次たち一行は、その後、順調に馬と天神足で東に旅を進めて行き、やがて今日の日が落ちて来た。街道周りの景色は草木だらけであり、民家は遠く離れたところにポツンポツンと点在して建っているだけだ。一宿一飯をその民家で請おうとすれば出来ないこともないが、竜次たちは大変便利な宿泊用の宝具を持っており、そうする必要はない。


「さて、お待ちかねの夜になってきたな。今日の旅はここまでにして、私のとっておきを使って休むことにするかな」

「おっ! 晴明さん、待ってましたよ。咲夜姫、早くあの桐の箱を出してください。どうなるのか楽しみだなあ」


 子供のように純粋な心で目を輝かせている竜次を見て、晴明と咲夜は何とも言えず釣られて楽しくなり、微笑んでいる。咲夜は無限の朱袋から、桐の箱に入ったままの神授の宿小屋を取り出すと、両手でそれなりの大きさの箱を持ち、晴明に手渡した。桐の箱を持った晴明は、街道周りの平原をぐるりと見回していたが、


「そうだな、あの辺りが開けていていいだろう」


 低木の生い茂りなどが邪魔にならず、丁度よい広さの開けた平地を見つけたようだ。街道から少しだけ歩き、手頃に開けた平地に入った晴明は、桐の箱からジオラマのような形をした神授の宿小屋を取り出すと、宿小屋の模型についている小さなボタンをカチリと押した。すると、神の加護が宿ったこの宝具はみるみる大きくなり、数分程で、大人6~7人は泊まって休める立派な宿小屋に変化した!


「これは凄い! 予想以上だ! ここまで大きくなるのなら、これは小屋というより家だな!」

「ハッハッハッ! 竜次殿は、いい喜び方をしてくれる。私もとっておきを出した甲斐があるというものだ。これで私たちはいつでも休めるようになったわけだが、馬たちも休ませなければならない。少し力仕事で男手がいる。竜次殿、ちょっとこっちに来て手伝ってくれ」


 竜次のみならず、咲夜、あやめ、そして九尾の狐の仙までも、大きな総二階の宿小屋を見上げて(いた)く驚いている。晴明は、彼女たち3人の魂消た顔と、竜次の無邪気な喜び方を見て一頻(ひとしき)り笑った後、神授の宿小屋周りの敷地に竜次を呼び寄せ、何やら作業を始めようとしていた。


 アカツキノタイラで崇められる神の力が宿った神授の宿小屋は、ジオラマの形をしていたので、宿小屋本体周りに、ある程度の広さを持つ庭もセットでつけられている。その庭も、晴明が先程行ったボタン操作で大きく広がっており、見るとそこには、大人の背丈程度の高さを持つ支柱が中央に1本、四隅に4本立っている。晴明は馬を休ませると言っていたので、これらの支柱周りに馬を繋ぐはずだが、このままでは屋根がない。いったいどうするのだろう?

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