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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第5章 暁の国・平定編(前編)

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第190話 一期一会

「雨がもう少しで止みそうですね。俺たちは東に行こうとしているんですが、やはり雨で道が悪くなると足が進みにくくていけねえ」

「おや? 東というと、暁の国に用があるんですか? 私はそこから来たんですが、今、暁の国はちょっと危ないですよ」


 赤髪の旅人は、どうやら暁の国の民らしく、話している言葉は日本語とほとんど同じ、アカツキノタイラ語だが、例えるなら欧米風の異国情緒豊かな顔をしている。なぜ顔立ちが自分たちと違うのか、会話をしながらも竜次は疑問に思い、気にはなった。しかし、異国風の顔立ちのことを赤髪の旅人に聞くのも不躾(ぶしつけ)であろうと考え、竜次はそれに触れず、話を進めた。


「危ない? 何か不穏なことが起こっているんですか?」

「ええ、私は暁の国の西端から来たので、あまり詳しいことは分からないんですが、国の中心部辺りに強いオーガが現れたと聞きます。最近、そのオーガが力をつけ始めたのか、国の乱れが広まってきていますね。なかなか大変な状況で、私は八日市までやっとたどり着いて、ようやく安心したものです」


 仙が東の方向から嗅ぎ取った、瘴気の濃さ通りということだろう。赤髪の旅人は言葉を続け、今の国の状況だと暁の国から見て、国境西部にある第2の都市シャーウッドに行くのが良いと教えてくれた。暁の国に入れる箇所は幾つかあるが、国中心部に直行するのは現状において危険で、シャーウッド方面から入るのが一番安全だという。




 赤髪の旅人と竜次たち一行は、その後も談笑しながら茶屋の名物、みたらし大団子を一緒に食べた。一通り団子を頬張り、ほうじ茶の残りを全て飲み終えた赤髪の旅人は、


「それでは、くれぐれもお気をつけください。お元気で」


 そう言い残すと、雨が上がった八日市の街道に入り、西に旅立って行った。竜次たち一行にとって、一期一会の良い機会で、素晴らしい情報が得られたと言えよう。


 赤髪の旅人と談笑している内に話が砕けてきたので、なぜ異国風の顔立ちをしているのかも聞くことが出来た。旅人の話によると、暁の国の民は、地球で言うアジア風やアラブ風などの顔をした者もいるが、大方は欧米風の顔立ちをした者が多いそうだ。話す言葉はアカツキノタイラ語で、縁の国、暁の国、宵の国ともに共通なのだが、暁の国はいわゆるカタカナ語が多様で、会話や書き物などにおいて比較的頻繁に使うらしい。暁の国第2の都市がシャーウッドというカタカナの都市名なのも、その話し言葉と暁の国の特徴に由来しているのだろう。


 ともかく、有力な情報により進路が明るくなった。竜次、咲夜、あやめ、仙、晴明の5人は、大きなみたらし団子をきれいに平らげた後、陽光が差し始めた街道に戻り、休息で軽くなった足を進めていく。

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